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「え、な、なに！？」
「山田さっきからなんで無視するんだよ。さみしいじゃんか」
「無視！？あ、ごめん、ちょっと考え事してて、その、……ごめん」
ぷく〜っと頬を膨らませて怒ってます、ってアピールする大ちゃんに慌てて謝罪する。
そんな顔をしていても可愛いんだよな、なんて思いながら。
「考え事ぉ〜？なに、悩みがあるならお兄さんに言ってみなさいよ」
「え、俺、兄ちゃんいないけど……」
「ちげぇよ！どう考えても今の“お兄さん”は俺のことだろ！」
テンポの良いこの会話が心地いい。
不思議だ。大ちゃんといると楽しくて面白くて、ずっと一緒にいたくなってしまう。それは彼が友達だから？
…………いや、違う。
「あ、そっか。俺、大ちゃんが好きなんだ……」
近頃考えていた悩み。その答えが出てしまった。
俺はこの人を好きになってしまったのか。
どうしよう、自覚した瞬間、急に恥ずかしくなってきた。
「山田ぁ？今度はどうしたの〜？」
固まって動かなくなった俺を心配するように、顔を覗き込んでくる大ちゃん。
ぐあっ、可愛い。
「あ、そのっ、へあっと……」
自分でも引いてしまうけど、今はまともな会話すら出来なさそうだ。
とにかくこんな状態はマズい。ひとまず……。
うん、逃げよう。
「ごめん、用事思い出した！今日は俺もう帰るわ！」
「え！？」
それだけ言い残し、俺は走ってその場を後にした。
・
続く
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作者名：はらぺこ | 作成日時：2023年3月12日 22時
