やつくちめ ページ28
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「それさ、好きなんでしょ。その人のこと」
「…………は?」
いつもの如く、知念が俺の家に遊びにきていたある日のこと。
一人で、もやもやを抱えていても答えが出ないと悟った俺は知念に相談していた。
「いやいやいや、好きとかありえねぇよ!第一相手男だぞ?」
「へぇ〜。相手の人、男なんだ。まぁいいじゃん、別に今どき珍しくないって」
知念は俺の作った料理をぱくぱくと食べながら、どうでも良さそうにそう言った。
「てかそもそも、なんで俺がだい…あの人のこと好きってことになるんだよ」
「その人と毎日会えるのが楽しみで、自分の作ったお弁当食べて喜んでる姿見るのが嬉しいんでしょ? じゃあそれはもう好きだよ」
「いや、でも、」
「いい加減認めなよ。会話の内容が大学生の恋愛とは思えない……。中学生かよ」
知念は馬鹿にしたように笑う。
「ちゅ、中学生って!」
「まぁでも仕方ないか。涼介、恋人どうこう以前に基本人と関わってこなかったからねぇ」
おめでとう、と生温い目を俺に向けてくる。
俺が大ちゃんを好き……?
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作者名:はらぺこ | 作成日時:2023年3月12日 22時