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「でもやっぱ大丈夫!ありがとう、山田」
顔をあげた大ちゃんは優しく微笑んでいた。
「……なんで?」
「いや、普通に申し訳ないし!」
「別にいいよ、一人分も二人分も変わんないし」
「でも……」
簡単にはお願い出来ないといった表情を見せる。
ならば。
「あー、変わりにさ。作った弁当に感想ちょうだいよ」
「感想?」
「うん。料理の腕あげたいから、客観的な意見欲しくて。
これでウィンウィン。ど?」
「そ、そんなの!感想なんていくらでも!!でも、ほんとにいいの?」
「いーって」
「じゃあ、“お楽しみデー”はお願いしようかな……」
頷こうとして、一つ引っかかる。
「お楽しみデー?」
「あ、うん!山田と会う週一の日!」
「え、“お楽しみデー”って呼んでるの?」
「だって、凄く楽しみな日だから……」
恥ずかしそうにする大ちゃんが可愛くて思わず笑ってしまう。
「笑うなってぇ……」
「ふふ、いや、うん、ごめん、ふふ」
そうか、大ちゃんは俺と会うのを楽しみにしてくれていたのか。
…………俺と、同じ……。
「じゃあ、これからお楽しみデーの日は大ちゃんの分のお弁当も持ってくるね」
「い、いじってるだろ……。まぁいいや、ありがとう!楽しみにしてる!」
大ちゃんは太陽みたいな眩しい笑顔を向けてきた。
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作者名:はらぺこ | 作成日時:2023年3月12日 22時