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「お待たせしましたぁ〜、オムライスです」
俺が注文したオムライスが先程のイケメン店員によって運ばれてくる。
ふわっふわっの卵が優しく乗っているオムライスは食欲をそそった。
「オムライス、嫌いだったわけじゃないんですね」
「あ、はい。ちょっと気になって」
「気になる？」
「や、こっちの話です。気にしないで下さい」
店員が去っていったのを見て、手を合わせていただきますをする。
ぱくっと一口食べると、それはもう幸福を感じるほどの美味しさが広がった。
うまいうまいと食べながら、ちらっと店の奥に目をやる。
俺がオムライスを頼んだのは、１つ気になったことがあったからだ。
気になった、というよりは最早面白い実験のようにも思っているわけだけど。
題して、「オムライス食べたら大ちゃんこっち来るんじゃね？」説。
いや、ほんと何くだらないことしようとしてんだ、とは思うし、普通にオムライス食べなくてもこっちに来る可能性があるのは分かっているんだけども。
ほんの少しの好奇心からオムライスを頼んだ。
そして、ぱくぱくと食べ進めて完食しようとしたそのとき、
「え！？」
と大きな声が聞こえた。
「山田、偶然！」
俺に気づいたらしい大ちゃんは俺の真横に来て、話しかけてきた。
「しかもオムライス頼んでるし！」
大ちゃんが前回会ったときと同じような反応を示したので、それが面白くて少し笑ってしまう。
「ふふ、大ちゃん偶然だね」
笑いながら言うと、大ちゃんは嬉しそうな顔をした後、
「ちょっと待ってて！」
って言ってきた。
「俺、後５分であがりの時間なの！話そーよ！」
「え」
予想外の展開。
いや、考えられなかったわけじゃないけど……。
俺は話すことなんかないけど、ってついつい癖で言いそうになってしまった口を閉じて、なんて返そうか考える。
理由探して、「帰る」って伝えようとしたけど、大ちゃんは俺と話す気満々みたいだし、今は俺の機嫌も良いので、黙って頷いた。
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作者名：はらぺこ | 作成日時：2023年3月12日 22時
