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「いらっしゃいませぇ」
茶色を基調とした温かみのあるドアを手前に引き中へ入ると優しい声で迎えられた。
ここは大学から歩いてちょっとしたところにある、お洒落な喫茶店だ。
人通りが少ない場所にあるためか、ここを知らない人は多い。
俺もついこの間まで知らなかったが、たまには違う道から帰ろうと、のんびり歩いていたときに見つけた。
見つけたときは時間に余裕がなく入ることは叶わなかったわけだけど、外から見るだけでも十分魅力が伝わるような、そんなお店だったためにずっと来てみたかった。
外観もなかなかにお洒落だと思ったけど、内装もとりわけ良い。
静かで日差しの入りもいい落ち着く空間にすでに高い満足感を得ながら、席に座ってメニューを見る。
「へぇ〜、どれも美味しそう……」
喫茶店にしては珍しい、のかは分からないけどそこそこ豊富にあるメニューは俺を悩ませた。
ん〜、と悩んでいると店員さんがやってきてお水を運んできてくれた。
「あぁ、ありがとうございます」
「いいえ〜。……注文、お悩みですか?」
俺が悩んでいることに気がついたのか、そんなことを言われる。
よく見たらこの店員、イケメン。
「あ、まぁ、えと、はい……」
「いっぱいありますからねぇ。俺のおすすめはこのサンドイッチですかねぇ」
俺の開いていたメニュー表のサンドイッチの写真が載った部分を指さしながら教えてくれる。
「あー、でもあっちにいる店員とかはよくオムライスおすすめしてますよぉ」
そう言って、気だるげイケメン店員はちらっと奥の方を見たので、俺もその視線に続くように見る、と。
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作者名:はらぺこ | 作成日時:2023年3月12日 22時