女の子ですが！ (ページ41)

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とあるさつえいげんばページ41

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「カット！」

快活な監督の声が響いて、数秒。ぷは…と止めてた息を吐き出すように東はゆっくり体の力を抜く。

メンバーはもちろん、事務所のタレントだっていない現場。
そっとセットから離れる彼女に近付いたのは、

文「Aちゃんお疲れ」

『わあ、ありがとう……タカハシくん』

今回の東主演ドラマで相手役を務める、高橋文哉。
仮面ライダーから始まり、ドラマ、映画、CM…と着々と経験値を積んでいる、今大注目の若手俳優である。

相手役というだけあり、連日の撮影ではずっと一緒にいる2人なのだが。

『なんか今日不機嫌そうだねタカハシくん、綺麗な顔が台無しだよ』

文「いや…いつまでその呼び方なんだろうと思って」

『…“タカハシくん”？』

文「もう撮影始まって結構経つんですけど」

『そうだっけ？』

文「分かりやすくとぼけないで？」

休憩〜と声がかかって並んでスタジオを出る、一見仲睦まじいような、ぎこちないような2つの影。東単独のシーンも今日の分は一区切りついたようで、休憩終わりにはまた2人での撮影だ。

『タカハシくんは急ぎすぎだよ、まだ先は長いのに』

文「名前呼びくらいよくない？距離遠くない？まだまだ一緒にいなきゃいけないよ！？」

『ふふふ、落ち着いて』

文「というかあなたのグループ、タカハシさんっていらっしゃるよね」

『あの人は…優斗だから大丈夫』

文「俺が大丈夫じゃないんだよ…」

テンポの良い会話に、廊下をすれ違うドラマスタッフからも笑みがこぼれていることに2人は気付かない。

『で、なんでタカハシくんは楽屋までついてくるの』

文「俺はAちゃんと仲良くなりたいの～」

『入れるしかないじゃんそんなの』

文「入れてくれるのね」

密かに“ふみあず”なんて呼ばれている2人。その距離は確かに縮まっていて、また新しい人気を博す予感がする。

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