【和/泉/三/月】3日後の行方【ア/イ/ナ/ナ】 (ページ7)

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「そういえば三月の将来の夢ってアイドルだったよね」

悩んで、苦し紛れに話題を出す。前に言っていた気がしたことを会話に出しただけだ。最近の三月は家のための調理師免許の勉強と、アイドルのオーディションに行ったりと忙しそうだった。まだアイドルの方の就職先は決まっていないようだが、調理師免許の方は順調のようだ。料理も上手いし、お嫁さんとしては完璧だと思う。

「うん、そうだけど……なに？」

いや、だからといって特に何もないけれど……。会話が続かない。

「えっと、私はどうしようかなって」

何気なく悩みをつぶやいて、足をぶらつかせた。三月は可愛いし、料理も上手いし、アイドルになる予定だから(ならないかもしらないけれど)将来は明るく見える。でも、私は本当に何にもない。彼が羨ましかった。

「やっぱり養ってよ」

小さく笑って、上目遣いで見る。わがままだよな、知ってる。こんな他力本願の自分に悲しくもなった。

「……無理だよ」

いつもの呆れながらのお説教はなくて、顔を背けられた。

「じゃあ……おやすみ」

三月が立ち上がってそう言った。立ち上がった場所が暗くて、表情が見えなかった。反射的に彼の手を掴む。彼は小さく驚いたような声を出して、こちらに顔を向ける。

「あ……ごめん、おやすみ」

なんで掴んだんだろう。ゆるりと手を離した。彼の冬の空気にさらされてひんやりとした手の感触が余韻のように残る。寂しいような、そんな感じがした。

まだ、話してたいな。