【和/泉/三/月】3日後の行方【ア/イ/ナ/ナ】 (ページ38)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:29,014 hit

#37 ページ38

二人で押し黙った静寂をぽつりぽつりと窓の外から雨が打ち破る。気分をもっと暗くさせる灰色の雨雲が空を覆う。たちまち日光は無くなり、部屋の中が暗くなった。まるで空も私達の雰囲気に合わせているようだ。神様も余計なことをする。

「あの、代わりになんでもするから」

　ずっと俯いていた三月はそのままこちらに目を向ける。私は懺悔のつもりだったのだがまた裏目に出たようだ、彼の笑顔は見当たらなかった。でも、こういう時の上手な謝り方が分からないからどうしようもない。

　私は三月から目を逸らして南向きの窓から外を見る。外の雨の量は多くなり、耳障りな音も大きくなっていた。この小さな声の会話さえも聞こえなくなるほどだ。遠くで雷が鳴り、本格的な雨が降り始める。ジメジメとした暑さに軽い頭痛さえもした。

「……ほんとに？」

　暗い部屋に電気をつけようと立ち上がろうとした瞬間、三月は言う。雨のせいで聞き取りにくかった。
　少しだけ身体を前のめりにして、上目遣いをしている姿は女の子のようだ。しかし、神妙な、憂いを帯びたようなその眼差しは、いつもとは違う色気のある表情だった。

「へ、うん」

私の腕に伸びてきた彼の手に戸惑いながらも受け入れる。この先の展開もなんとなく理解した。でも、不思議と嫌と感じることは無かった。

「ねえ」

返事はせず、雨音を聞きながら彼の目をぼんやりと見つめた。抵抗はしなかった。