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「おはよ。」
『…おはようございま…ふぁ、』
「挨拶の途中であくびすんなよ…」
『すみません……眠くて、』
「夜更かし？」
『……友達と飲んでて……』
ふーん、と相変わらず興味がなさそうに答えた茅ヶ崎さんは、コーヒーを片手にPCの電源を入れていた。私もコーヒー飲もう……と、重たい足取りで給湯室に向かった。
「あ、弓原ちゃん。おはよ。」
『…おはようございます、井原さん。』
「コーヒー飲む？淹れようか。」
『……はい、お願いします。』
「！ 任せて。」
いつもなら断るけど、今日は本当に眠くて駄目だ。頭が回らない。私の答えを聞いて、嬉しそうにした井原さんが、機嫌よくコーヒーを淹れていく。こんなことで機嫌よくなるってすごいな、井原さんは。
「はい。どうぞ！」
『ありがとうございます。いただきます…』
ほんわりと香るコーヒーの匂いに癒される。ずずっと啜れば、若干薄いけどまぁ美味しかった。会社のコーヒーだったら、茅ヶ崎さんが挿れてくれたのが一番美味しいと思う。私調べだけど。
「随分と眠たそうだね。大丈夫？」
『大丈夫です。寝不足なだけなので。』
「気をつけてね。この前、茅ヶ崎も疲労で倒れたらしいし。」
『そうですねぇ。』
その時一緒にいたし知ってるけど。疲労じゃないことも知ってる。ただのゲームのしすぎなことも。なんて、井原さんに言えるはずがなく、コーヒー飲み終わってるのになんでずっといるんだろうと思った。
「あ、弓原ちゃん…寝癖ついてるよ。」
『えっ、ほんとですか。』
「うん、ちょっと待ってね…」
井原さんの手が、私の頭に触れる。……と、思ったが、手が触れる前に「弓原」と私を呼ぶ声が聞こえてきた。その声に、固まったのは井原さんの方で。私はというと、呑気にコーヒーを啜りながら、声の主に返事をする。
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作者名：しあ | 作成日時：2019年6月27日 22時
