綺麗な花に棘がある。【茅ヶ崎至】 (ページ23)

今日:1 hit、昨日:13 hit、合計:100,938 hit

○２２ページ23

・

・

『ええっと、改めまして……弓原沙希です。茅ヶ崎さんとは同じ部署で働いてます。』

「月岡紬です。で、こっちは万里くん。」

「うす。」

月岡さんは25歳で、万里くんは18歳らしい。二人ともいい意味で年齢にあっていないというか。万里くんに至っては、てっきり二十歳超えてると思っていたけど、今は美大に通っているんだとか。

「会社での至さんって、やっぱりモテるんすか？」

『うん。かなりモテてると思うよ。陰で王子様って呼ばれてるみたい。』

「王子って………まぁ、外面だけはいいっすからね。」

「会社では至くんもちゃんとしてるんだよ。」

「仲良いんすか？」

『…仲良いっていうか…まぁ、先輩だし……』

「見た感じ、至くんは気を許してる感じするけどね。」

「あー、確かに。」

『えっ、そうなんですかね？茅ヶ崎さんは、私が新人だった頃の教育係でもあったので、尊敬はしてますよ。(まぁ、一部を除けば)』

それから、お洒落なカフェでお洒落なサンドイッチを食べて、劇団での茅ヶ崎さんの話や、どんなお芝居をしているのかなど、色々と聞けた気がする。そろそろ帰ろうかと席を立てば、月岡さんが伝票を持って行ってしまい、ご馳走になってしまった。

『すみません、助けてもらった挙句ご馳走になってしまって…』

「いえいえ。こちらこそ、楽しかったよね。万里くん。」

「だな。会社での至さんの話も聞けたし。」

『あ…茅ヶ崎さんには言わないでよ！？何されるかわからないから！』

「へいへい。」

『じゃあ、私はここで失礼します。本当にありがとうございました！』

「うん。気をつけてね。」

手を振ってくれた二人に、私も振り返して駅へと向かう。今日は色々あった1日だったな。月岡さんと、万里くん。不思議な組み合わせだったけど、二人ともいい人だった。半分くらい茅ヶ崎さんの話して終わったけど。

『(久しぶりに自炊でもするかぁ)』

意気込んだのはその時だけで、家に着く前にぶら下げた買い物袋の中には安くなっていたお弁当とビールの缶だった。(どうしようもない)

・

・