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『い、井原さんこそ…お買い物ですか?』


「俺?いや、俺は特に。ただ外に出ただけ!」


『(さすがアウトドア隊長……)』


「…てか、弓原ちゃんに聞きたいことあったんだよね。」


『聞きたいことですか?私に?』


「うん、単刀直入に聞くけど、茅ヶ崎と付き合ってるの?」


『………………………は?』


「えっ、(顔怖っ)」



思ったより低い声が出てしまった。少し怯えた井原さんに、「違います違います!」と、茅ヶ崎さんとは何もないことをしっかりと伝える。どこをどうみたら先輩と私が付き合ってるように見えるんだ?



「そうなんだ。…いや、うちの部署の女性社員たちが噂してたからさ。」


『噂?』


「茅ヶ崎と弓原ちゃんが実は隠れて付き合ってるんじゃないかって。ほら、茅ヶ崎がまともに話す女性社員って弓原ちゃんくらいじゃん。」


『…ああ…まぁ、デスクが隣ですし……茅ヶ崎さんは、私の教育係でもあったので。』


「………そうみたいだね。でも、噂されてるから気をつけた方がいいよ!」


『…そうですか。ご忠告ありがとうございます。』



へらりと笑えば、井原さんもにっこりと笑った。噂か………。全然知らなかったな。


まー…茅ヶ崎さんモテるからなぁ。私も割と馴れ馴れしいところあるからそう思われても仕方ないのかな。一応(一応)先輩だし、これから気をつけよっと。



『じゃ、じゃあ…私はこれで…』


「えっ、昼飯一緒に行こうよ。俺奢るし!」


『いや、悪いです!それに、私お昼食べましたし!』


「そうなの?じゃあ、お茶とか!」


『まだ買い物終わってないので…』


「なら、付き合うよ!」


『(なぜそうなる!?!?!?)』



遠回しに断ってることに気づいていないのか、はたまたスーパーポジティブマンなのか………。うぅ、どうしよう。ここで都合よく知り合いとか現れてくれれば…………



「紬さん、ここの道じゃね。」


「…え?もう一個先じゃなくて?」


『(あれは………確か、先輩の劇団の…)』


「弓原ちゃん?」


『えっ!?』


「顔色悪いけど大丈夫?」


『…やー…あはは。』






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作者名:しあ | 作成日時:2019年6月27日 22時

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