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「…ていうか、昨日の今日でついてくる?普通。」


『私も思いました。でも、タダ飯なら話は別です!!』


「言っておくけど、昨日も払ったの俺だからね。」


『…………』


「急に黙んな。」



昨日あんなことがあったのにも関わらずこの後輩は本当にアホなのかもしれない。手を出そうとした俺が言うのもなんだが、危機感がなさすぎる。


さっきも井原に声をかけられて、ヘラヘラしてたし、こいつ本当に大丈夫か?そんな俺の気持ちも知らずに、「何にしようかなあ」と呑気にメニューを見ている後輩に思わずクソでかいため息が出た。






『茅ヶ崎さーん、飲んでますー?』


「……………」



やっぱり正真正銘のアホなんだ。ご機嫌そうにワイングラスを傾ける弓原は、もうすでに出来上がっていた。俺はというと、今日は車で出勤してきたからもちろんお酒は飲めないわけで。



「今日は飲まないって言わなかった?」


『いいじゃないですかぁ!今日は金曜日なんですから!』


「…いやいや、昨日のこと忘れたの?」


『あ〜〜…昨日のことは無かったことにしましょう!』


「は?」


『全部水に流しま〜す…!先輩も飲んでくださいよ〜〜!』


「今日車だから飲まないって。」


『カワイソ〜〜!』



きゃっきゃっと楽しそうに笑って、どんどんと飲み進めるから。もう知らない。今日は捨てて帰る。そう決めて、すっかり冷めてしまったパスタを勢いよく口に入れた。



『…ねっむ』


「飲みすぎだろ、馬鹿なの?」


『ん〜…もっと労ってくださいよぅ…私一週間残業頑張りましたよ〜?』


「はいはい。自分がいけないんだけどね。」


『ちがさきさん、』


「はい?」


『おんぶしてください。』


「………は?」



ん!と両手を広げて、おんぶを主張をしてくる姿に拍子抜けしてしまう。酔っ払いは何でもありなんだな。本当に。


駐車場まですぐそこなんだけど…と思いつつ、仕方ないなと弓原の足元にしゃがめば、案外軽い体重が背中にかかった。



「(いや、軽……。空気?)」


『わーい!高い高い!』


「子供か…」



結局、駐車場に着いた時にはもう既に気持ち良さそうな寝息を立てていて、腹が立った俺は助手席に無理やり押し込んだ。






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作者名:しあ | 作成日時:2019年6月27日 22時

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