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『同期ですよね?』
「うん、確か。名前なんだっけな。」
『井原さんです。3年も同じ部署で働いてるのに覚えてないとかやばいですよ。』
「興味ないからね。あんまり話さないし。」
『…あ、でも、井原さんって確か私が入社した年にここに移動してきたって言ってたような…』
「よく知ってんね。」
『飲み会でよく隣に座るんです。あの人、聞いてもないことまでベラベラ喋るからいつの間にかいろいろ知っちゃって。』
別に知りたくないけど、なんて言葉は、茅ヶ崎さんが淹れてくれたコーヒーと一緒に飲み込んだ。
先輩が淹れるコーヒー、絶妙で美味しんだよなぁ。染みる〜〜〜〜〜。
『よし、やりますかー……って、何やってるんですか。』
「ん?ゲーム。」
『先輩って、ゲームとかやるんですね。』
「あー…うん、まぁ。(やっべ、寮にいる感覚だった…)」
意外すぎるな。あのキラキラ爽やか王子先輩がスマホのソシャゲをやってるなんて。普通の人だったらオタクだのなんだの言われるんだろうけど、先輩がやってるって知ったらきっとギャップ萌えとかなんとかでキャーキャー言うんだろうな。うちの社員は。
『…はぁ…』
「なんでため息ついた?」
『茅ヶ崎さん、遺伝子に感謝した方がいいですよ。』
「それ新手の悪口?」
『うぎゃっ』
口元だけにっこりとさせた先輩が、私の頰をつねりあげる。痛い痛い痛い!!と手をぱしぱしと叩いても、先輩はにこやかに笑うだけだった。目が笑ってないんだけど!?
「飯奢ってあげるから、さっさと終わらせな。」
『やったー!』
「てことで、俺がゲーム好きなのはみんなに黙っておいてね?」
『えぇ…せっかく先輩の弱み握ったと思ったのに…』
「PCの電源抜くぞ。」
『やめて!』
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作者名:しあ | 作成日時:2019年6月27日 22時