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カタカタとPCのキーボードを打つ音に耳が痛くなる。学生の頃はなんでか、この音好きだったなー…なんて昔のことを思い出す。



『……誤字多すぎだろ、私………。』



弓原A。22歳、社畜。最近は働かないで楽に生きる方法がないか模索中です。



「ちょっとは休憩したら?」


『………先輩…手伝ってくれたりしないですよね。』


「俺も自分の仕事あるからね。」


『デスヨネ』


「茅ヶ崎さん、これ頼まれてた書類です。」


「あ、ありがとう。」



彼が笑えば爽やかな風が吹いたような、背中で花びらが舞っているような幻覚が見えることがある。それは今、私が疲れているからとかじゃなくて常に。



「…茅ヶ崎さん、本当にかっこいいよね…」


「うんうん。イケメンって目の保養だよね。茅ヶ崎さんの笑顔見ただけで仕事頑張れるもん。」


「わかる…!栄養剤って感じ!」



理解不能だ。隣の席の先輩、茅ヶ崎至さん。圧倒的に顔面が整っていて、女性社員からは「王子様」と影で呼ばれているらしい。


顔がいいだけでなく、仕事も出来るし、尚早い。だから女性だけでなく男性の社員からも尊敬の眼差しを向けられている。


上司からの信頼も厚いし、これぞまさにエリートって感じだ。そんな高嶺の花のような先輩だけど、私が新入社員で入社してからしばらくは私の教育係として面倒を見てくれていた。






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作者名:しあ | 作成日時:2019年6月27日 22時

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