Feelings in the cocktail 〜カクテルに込めた想い〜

8 ページ8

「んっ…」






離してと、陽翔の胸をどんどんっと

叩くも…







ふっと離れたかと思った身体は

瞬時に拘束されて…離してもらえない








「…ちょ、陽翔っ、離して…」







陽翔「好きだった…ずっと。


俺、Aの事が本気で…


好きだったんだ…」









ああ…。




何で その言葉をくれたのが





そっくりさんの 7号機なんだろぅ…







そんな風に 思ってしまった…









.



「…陽翔。ごめん… 離して…。」








.



ゆっくり 陽翔の腕のチカラがゆるむ








「…私ね。ずっと、好きな人がいる…の

陽翔は私にとって、寂しさを埋める為の


男だったんだ…。ほんと最低な女だよ。

だから、私なんか、やめなよ。」









陽翔「寂しさを埋める道具なのは…
職業柄仕方ないって…思ってるよ。

それにやめなって…言われても…



とっくにもう遅いって…。完全に…

好きになっちゃったんだ…。」







だめ。これ以上聴いたら…


情が うつってしまいそう…









「…ごめん。私…っ



その人以外は…愛せない。」









陽翔「…俺がもし、ホストを辞めて、
違う仕事をしたとしても…俺は…

やっぱりAの…恋愛対象外？」









「…ごめん。」









陽翔「…そっか。」









「そのお金は、陽翔にあげる。」


陽翔「でもっ！」








「…返さないで。陽翔にとって私との
時間は、仕事だった。





そう…思ってほしい。」






陽翔「……」






「どうしてもいらないなら、どこかに
寄付して。」






陽翔「…わかった。」





.








「じゃ、私、…行くね。」








陽翔「…A。





楽しい時間を ありがとう。」









そう言った陽翔に 私は答えず

背をむけたまま バイバイって

大きく手を振った…

9→←7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す