ブルームーンストーン4

161 omi ページ12

封筒の中には
書類の束が 二つ入っていた。









一つは、探偵事務所から来た素行調査結果。

調査人物の名前は…綾瀬 A









岩城…コイツ…正気じゃねぇ。

……完全にイカれてる









職場が、警察でもあるまいし、普通、一般企業のイチ従業員の素行調査まで…やらないだろ。









更に問題だったのは…もう一つの書類。

それは、金の貸付金の証書

総額 1億









そして、そこに記されていた
借り受け人の名前は…綾瀬 英雄







Aの…父親だ。









「どうして、社長がAの父親に金を貸したり、したんですか？！」









正直、ただ不気味で…
全く、意味がわからなかった…









会った事は、まだないが…
以前、Aが写真を見ながら、父親について語ったことがある。









確か…小さい頃、母親が男を作って出て行ったきり。2人暮らし。









埼玉で、洋裁生地を作る小さな町工場を経営していて、それがきっかけで洋服が、好きになったと。









そして、父親について…本当にお人好しだとAは、笑っていた。









『さあ…何で俺が金を貸したと思う？』









また…不気味な笑みを浮かべた。









『…まあ登坂。簡単に言えば、君は自分が思う以上に、ウチの大事な看板アーティストだって事だな。』









「………。」









『今の時代、金を使えば、何だって簡単に調べられる。あの娘の家族をちょっと調べたら、埃が出てきた。

ただそれだけの事だ。スターなら付き合う相手も、重要だぞ。』









「…！まさか…その為に？」









『おいおい、そんな怖い顔すんなって。俺は、彼女の父さんを助けた恩人だぞ？』









「…アンタ、いい加減にしろよ！！」









怒りが内側から湧き上がり

身体が先に動いてしまっていた…

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