【d!】喜劇的レゾンデートル (ページ24)

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「…A、さん」

…シャオロンは初日だからという事で私の分の朝食を取りに行ってくれたから、私は1人で椅子に座っていた。視線がほんの少しだけ痛いけど、あんまり気にならない。好奇の視線には慣れている。
そして、今私の目の前には、背の高い男性が立っている。本当に高い。手元には朝食の乗ったトレー。水色の髪の毛が印象的だった。

「チーノさん」

幹部。昨日自己紹介を聞いた時、比較的警戒心の弱そうな目を向けてくれていた人だった気がする。背が高くてとても印象的だった。

「あぁ、そうです。14人も居るのによぉ覚えられましたね」

「記憶することは得意ですので」

「へえ…」

そう興味が削がれたかのように言うと、チーノさんは私の対面側の席に座った。え、座るの？そうしてトレーにのった朝食のご飯を頬張り始めた。何かを話し始める様子もなく、朝食を食べ進めている。

沈黙。

「…言っておきますけど。俺はAさんの事、仲間やと思ってますよ。」

目を見開く。…その言葉はとてもありがたいけど、同時に嘘くさいとも思った。来てから一日、判断材料も無いのに信用されたと言われても、信じ難いだろう。…私が疑う側なのはまた可笑しい話ではあるけれど。

「あはは、信じらんないって顔してますね。」

「…」

図星だ。

「俺、潜入捜査でスパイやってたんですよね。だから、貴方の事知ってたんですよ。
幽閉された可哀想な機凱、戦時以外は地下室の檻の中。って、みぃんな教えてくれました。俺、人の懐に入るのが得意なんですよね。」

可哀想な機凱。確かにそうだ。私は可哀想だった。誰も、助けようとはしなかったけど。

「…そう、なんですか。」

「だから俺は貴方が反発するとか、悪意を持ってるとは思えな_______ッい"ったぁ！！」

チーノさんの言葉を遮ったのは、当然の如くシャオロンだ。鈍い音を立てて彼の頭に当たった拳骨。チーノさんは頭を抑えて涙目になってしまっている。

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