【d!】喜劇的レゾンデートル (ページ19)

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幹部専用食堂の上の階には、幹部専用の個人部屋がある。その一番端、以前物置として使われていたところが私の部屋となった。メイドさんが綺麗にしてくれたらしい。

部屋に入れば、質素で綺麗な空間が広がっている。こんな部屋が貰えるっていうのか。…だって私が今までいたのは、薄暗い鉄格子の檻の中だ。どうしても、落ち着かない。
シャオロンは部屋の中を案内してくれた。お風呂とか、寝室だとか。事細かく。

「ここがAの部屋。ちょっと埃っぽいかもしらんな。」

「…いえ、充分綺麗です。ありがとうございます。」

「ん、中はベッド、机、クローゼットくらいしか置いてへんけど、自由に使ってくれてええから。家具は後々買いに行こ。」

か、買いに？これだけで全然十分過ぎるくらいなのに、買うって。これ以上何を買うつもりなのだ。焦りが出る。

「…え、あ…はい。」

「明日の朝また誰か来るはずやから。今日はちゃんと休んでな。」

「…、あの」

「ん？なに？」

「………い、え。なんでもないです。」

「そお？じゃあ俺も部屋行くわ。おやすみ」

「はい」

目の前で扉が閉まる。何も言えなかった。「なんでそんなに、"機械"に対して優しくするんですか。」なんて事は、聞くことが出来なかった。
それはなんだか、"お前は人間だ"と言ってくれた総統閣下を否定することになるような気がして。

閉まった扉の前で俯く。ベッドで寝るなんて、初めてじゃないだろうか。まず私には寝ることなんて必要ないのにな。

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