恋する群青 (ページ7)

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新学期が始まって間もないある日の放課後

「重…」

職員室に用があって寄ったら運悪く担任の先生に見つかってしまい、授業で使った資料を資料室に戻しておく様に頼まれた。

正直クラス全員分の資料を一人で持つのはかなり重い。

よたよたと歩いていると、近くの教室の扉がガラッと開いた。

「あ、Aちゃん」

「あ、海くんだー」

教室から出てきたのは首にタオルをかけたジャージ姿の海くんだった。

両手に抱えた資料に向いていた意識が一瞬海くんに移った事で、山積みになっていた物がズルっと滑り落ちそうになる。

「あっ、！」

「おっ…と！」

そのまま落ちる筈だった資料は、海くんの手によって助けられた。

「びっ…くりした。大丈夫？」

「助かった…ごめんね、ありがとう」

「どうしたのこれ」

「先生に捕まって運ぶように言われた」

「それはご愁傷様です」

そう言いながら私が抱えていた資料の3分の2くらいを手に持った海くん。

「え、」

「これ何処に持ってくの？」

「え…あ、第3資料室」

「了解ー」

そう言って抱えた資料を持って歩く彼の後ろ姿を追いかける。

「海くん、重いでしょ？大丈夫？」

「一応男なんですけど、俺」

「それは知ってるけど、」

「いいからいいから」

手伝わせてしまって申し訳ないなと思いながら後ろ姿を見ていると、襟足に汗が滴り落ちているのが見えた。

よく見ると、薄っすら背中にも汗が滲んでいる。

そういえば…
さっき海くんが出てきた教室って、ダンス部の教室だった様な…

「海くんダンス部の教室で何してたの？」

「何って、ダンスだけど」

「は？」

私の方を振り向きながら当然の事の様に答える海くん。

「俺、ダンス部にも入ってるんだよ」

「え！そうだったの？」

「うん。サッカーの練習が休みの時はこっち来てるんだ」

知らなかった。

確かうちのダンス部は同好会感覚だから、本気の部活動という感じではないって聞いた事がある。

だから兼任も出来るのかな。

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