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下駄箱に着くと、見慣れた後ろ姿が二つ。
「あ、オガくん〜A達来たよ」
「お、ほんとだ。二人共お疲れ」
「え、何してんの?」
「何って、一緒に帰ろうと思ってオガくんと待ってた」
ホームルームが終わって私達が図書室に向かう時は、二人共部活に行くと言っていたのでまさか待っていてくれてるなんて思わなかった。
「ごめん、結構待った?」
「いや、俺らもさっき部活終わって合流した所だから大丈夫」
上履きを脱いで靴に履き替え外に出ると、もう既に暗くなっていた。
「海、今日はどっち?」
「ん?ああダンス部」
「文化祭の練習しなきゃだから私も明日は行かないと」
「もう日も近いから全員で合わせないとだな」
「そうだね〜」
二人でそんな事を話していると、ふと少し前を歩いていた拓弥からの視線を感じた。
それに気付かないフリをして海と話を続けていると、何処からか携帯の着信音が聞こえた。
「あ、俺だ。ちょっとごめん」
「あ、うん」
立ち止まって携帯の画面を確認して、少し離れた所へ移動する海。
その光景を見ていたユカが、私と拓弥にコソコソと話し出す。
「ねぇあれ、彼女じゃない?」
「…え、」
「だって親とか友達だったら普通にここで電話出るでしょ」
一瞬、胸がズキっとした。
それに気付かれない様に「確かにそうかもね」と返す。
「オガくんったらいつの間に…戻って来たら詳しく聞かないと」
「…………」
聞きたくない。
そう思ってしまう自分がいた。
でも、そんな事は言えるはずもない。
数分後、電話を終えた海が戻って来る。
「わり、待たせた」
「ちょっとオガくん〜今の、」
ユカが海にからかう様な口調で話しかけようとした時、
「ユカ、お前門限大丈夫なのかよ」
それを遮るかの様に拓弥が口を開いた。
「え?……あ!やばいもうこんな時間なの!?」
時計を確認したユカは「急いで帰らないと怒られる!」と言って走り出す。
「ごめん私先に帰るね!また明日〜!」
「あ、うん!気を付けてね!」
「うんバイバイー!」
嵐の様に去って行ったユカの後ろ姿を眺めながら、助かったと胸をなで下ろす。
さっきの拓弥…わざと?
私の気持ちを分かって遮ってくれたのかな。
やっぱり良いやつじゃん、拓弥。
そんな事を考えながら心の中でお礼を言った。
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作者名:京 | 作成日時:2019年2月24日 23時