2 High school ページ2
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私と彼の最初の出会いは高校一年の終わり頃。
「……っ、ぅ」
ずっと好きだった先輩に告白して振られた。
今日は先輩の卒業の日で、友達に最後のチャンスだと背中を押され勇気を出して想いを伝えたけど、駄目だった。
屋上に繋がっている人気のない階段の隅っこで泣いていると、後ろにある屋上のドアが開いて声が聞こえた。
「あれ…?Aさん…だっけ?」
「……へ?」
後ろを振り向いたけど、ドアの隙間から漏れた太陽の光が反射して相手の顔が良く見えない。
あまりの眩しさに目線を下の方に向けると、相手の上履きのつま先が青いことだけは分かった。
うちの高校は学年ごとに、上履きや制服のネクタイの色が違う。
私の学年の色は青…って事は恐らく同じ学年の男子。
涙を拭いながら俯いてそんな事を考えていると、ふわっと香水の匂いがした。
多分、階段を降りてきた男子が隣に座ったんだと思う。
「……泣いてる?」
「…別に」
多分今の私は酷い顔をしている。
同じ学年の男子にこんな所見られるなんて最悪。
顔を自分の腕に埋めたまま上げられずにいると、手に何か握らされる。
顔を隠したまま手の中の物を見ると、ハンカチだった。
「それ、使って」
「…………」
「俺でよかったら話聞くよ?」
泣き顔を見られたくない一心で顔を上げられずにいるせいで、隣にいる男子が誰なのかも分からない。
でも、今の私はそんな事より誰かに話を聞いて欲しかったし、誰かに隣にいて欲しかったんだと思う。
顔も名前もクラスも分からない男子にポツリポツリと話し出してしまう。
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作者名:京 | 作成日時:2019年2月24日 23時