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梵柱は可愛がりたい ページ1

 
 
 四月一日Aは悩んでいた。

 それはもう、手を組んで考え込む体勢─百年ほど未来でゲンドウポーズと呼ばれる─を取るくらいには物思いに耽り、その類い希なる頭脳をフルに回していた。
 議題はというと、身内がかわいくてしゃーないのである。
 なおこの場合の身内とは、鬼殺隊……取り分け、彼女と同じく剣士として最高位を戴く九人のことであった。


 ……つい最近。ちょっと、まあ。色々というか。
 拗らせた過去や弟についての諸々があったのだが。

 知られたくないことを全部暴露された。私ならドン引いて海に沈めるような所業である。
 追い詰められて、Aも混乱していて。……それで、その。子供並みの罵倒とか、二十代も折り返しになって号泣したりとか、なんか駄々捏ねたりしてしまった。
 正直恥を晒したな、とは思っている。

 ……けれど、彼らはそうではなかったらしい。

 本気で相手を思いやれなかった頃のAが、爪先ほどの老婆心で、ともすれば、己に言い聞かせるために放った言葉に、救われたという。
 Aを信じている、と言った。

 目を覚まして、Aは彼らの安堵を見た。
 巻き込まれた怒りでなかった。
 ああ、よかったって。心底から無事を喜ぶのである。





 心に余裕ができてから考えた。

 無限列車での夢のこと。
 遊郭で動いた体のこと。
 情けない過去を、知られたくない、と思ったこと……

 …………

 ………アッ。


 私コイツらのことわりと好きだったのか……!


 気づいてからは速かった。
 こうも己を慕い、一挙一動に喜び、ヒヨコみたく後をついてくる者らは可愛くないのだろうか(反語)。

 しかし、である。
 Aはこれまで寡黙殺伐系として通してきたのだ。
 怖がられていたし、かつてはそれを望んでもいた。なにせ隠し事が多かったので、他人と離れていた方が楽だった。他人のことを気にする余裕などないと思い込んでいた。
 在りし日のAに「ウン年後にあいつらのこと大好きになるぞ」と言ったとして、鼻で笑うでもなく切り殺されるが関の山。そういうレベルでキャラを作っていたというか、気を張っていたのだ。

 いや、どんな態度を取ろうと柱の面々は変わらずAのことを敬愛してくれるだろう(確信)と思っていたし、あながち間違いでもないが。
 とはいえ、可愛い後輩の前で無様なことはできない。


 有り体に言って、距離の縮め方が分からなかった。




 

訓練であって拷問ではない→



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海神 瑠花(プロフ) - 再会ですか!?わーー!!このシリーズすっっごく好きで更新あったりしないかな〜って常々楽しみにしていたので嬉しいです!ありがとうございます楽しみにしてますね!! (6月27日 7時) (レス) id: 047a8ff329 (このIDを非表示/違反報告)
アホ毛50%(プロフ) - ノルンさん» 再開していきます…!応援ありがとうございます♡ (6月21日 22時) (レス) id: d38558f5f7 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 更新されとる!!!!!!!ありがとうございます!!! (6月21日 7時) (レス) @page7 id: 01548bf821 (このIDを非表示/違反報告)
shashakidayo(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて何度も読み返してます!更新の予定はありますか?! (2021年1月3日 1時) (レス) id: 2928414592 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - スピード、センス、ギャグ、ノリ、何をとっても最高に面白かったです!!続きも楽しみにしてます!!! (2020年7月6日 17時) (レス) id: 6412d0e74c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アホ毛50% | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年11月23日 19時

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