検索窓
今日:31 hit、昨日:52 hit、合計:271,996 hit

食卓バイオハザード ページ9

 
 
「落ち着いてください煉獄さーーんッ!」
「俺は至極落ち着いているぞ!体が言うことを聞かないだけで!」
「余計厄介じゃねーか!」

 正気を失った煉獄を、竈門炭治郎、我妻善逸が、必死の形相で押さえていた。


 Aが言うには、ここは新しく与えられた自分の屋敷だそうだった。産屋敷邸とほど近い。
 まさか、いつまでもお館様にご迷惑をおかけするわけにはいかないし、それは柱の皆さまも本意ではないだろうから、と。場所を移して寝かせてくれていたらしい。

 竈門様たちはその折に通りがかり、手伝ってくだすったのです。夜には任務があられると思いましたので、それまでは休んでいただきました。
 ご迷惑でなければお食事をご用意致します……という。

 たまたま通りがかり、炭治郎は手伝いに自ら名乗り出た。善逸はAという美人を見るや喜んで手伝った。そうして優しい少年たちは綺麗なお姉さんの手作りご飯を頂ける幸運を掴んだと思われた。
 しかしこれでは疫病神も裸足で逃げ出す不幸っぷりである。
 何が悲しくて発狂した上司の世話をしなければならないのか。何が楽しくてあの上司たちと膳を共にしなければならないのか。

 そのことを想像した善逸などもう半ベソどころか丸出し号泣で、逆に彼が正気を失いそうであった。逃げ出さなかったのは、やはりAの美しさに他ならない。端的にいって下心。

 最上座に悲鳴嶼、次に柱の面々が年齢順に並び、善逸、炭治郎。最下座にA。全員揃うとなんだかチグハグな空間で早めの夕食が振る舞われた。
(煉獄はなんとか鎮まった。曰く、「内臓が二、三個破裂しかけたが事なきを得た。」らしい)

 柱たちは真顔であった。もっと言えば正座を崩そうともしなかった。こんなの恐ろしい以外の何者でもないし、並大抵の人間なら食事どころではない。漏らしている。

「わあっ、すごく美味しいです!」
「もうどこにだってお嫁に行けますよ!てゆーかどうですか俺と結婚し」
「まあ。うふふ、ご冗談はよして」

 この猛者たちにそんなことは関係ない。
 むしろこの場で一番恐怖を感じているのは、誰あろうその柱たちであった。

 たとえるなら、音楽チャートを独占していた国民的ギタリストが突然引退したようなものだ。それが二年の時を経て、地下アイドルをやっている。そんな感じ。
 嬉しいとか嬉しくないとかではなく、飲み込めない。
 柱たちは真顔のまま徹底して礼法に則り食事を取っている。それはマナーレッスンのDVDみたいだった。

ゝ→←ゝ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (404 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
747人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 逆ハー , アホ毛50%
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

アホ毛50%(プロフ) - 玲さん» マジで有難いです……やる気出ます……がんばります……(ToT) (2022年10月7日 20時) (レス) id: a42aa73c2c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - どうかお身体にはお気をつけてご無理はせずに更新、活動していただけましたらと思います……!ゆっくりのんびり待っております。想像以上に長くなってしまいすみません……!!長文乱文等失礼しました。応援しております……! (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 喉からどこかの鳥の声でも発してしまいそうでした。続編……書いてくださる…………?夢でも見ているようです。この幸せを沼鬼に負けないくらいの気持ちと勢いを持ってギリギリ噛み締めます。(?)(申し訳ありません次で終わります) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もう超大好き!!!となっていたというか今も勿論のことなっています書いてくださりありがとうございます。 そうして今もまた読み直していたら、文章が変わっている……!?と気付き更新日時を確認しましてア゜〜〜!!!と大歓喜のあまり(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼致します。何回も何回も読み直し、そのたびこの作品は本当に面白いなあ、と思い、読了すると大きすぎる満足感と言い表し難いほどの感動が一気に込み上げてきまして、その感覚は頻繁に感じるものではなかったものですから、本当にこの作品はもう……(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アホ毛50% | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月29日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。