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「では諜報を担当するということだろうか!」

 煉獄は緊張のあまり庭園の池を揺らすような声を出してしまった。そうはならんやろ(なっとるやろがい!)
 それでもAは完ぺきな笑みを崩さない。
 いいえ、と首を振る仕草はゆったりとしていた。艶めいた髪は動作のいちいちで光を受けて黒ぐろと輝く。肝の座りようは変わっていないらしい。それはそうだろう。もっとスサまじい轟音の中でも眉ひとつ動かさない女だ。

 常でさえ作り物めいた煉獄の表情が固まる。
 そうか、と話を終わらせることができなかったのか、オタク心だった。やっぱり推しとは話してみたいのだ、

「皆さまのお世話をさせていただきます」
「……せ、……世話というと?」
「邸の管理を致します。皆さま留守にされることが多いでしょう。何かご用がございましたら、なんなりとお申し付けくださいませ」

「…………………………………」

 あ の 梵 柱 が 雑 用 ! ?

 解釈違いもいいところである。
 相手は、たとえ神さまみたいでも生きる人間だ。どうしたって思うようにはならない。煉獄はそこら辺弁えているから細かな解釈はない。けれどその分どうしても譲れぬ部分は強固であった。
 だから煉獄は目をかっ開いたまま完全に動きを止めた。

 さて残るは冨岡義勇ただ一人。ラッキーなことに彼は初撃でほぼ意識を失っており、今しがたようやく回復したところだった。
 ハッ!と辺りを見渡すと、何と言うことでしょう。屍山血河。これには思わず宇宙猫顔である。

「冨岡様」
「ッ。……な、……ど、どうし、ましたか」
「皆さまを奥の部屋へお運びしたいのです。手伝っていただいてもよろしいでしょうか?」
「……ああ」
「ありがとう存じます」

 喉につっかえつっかえ、なんとか返事をする。

 そうだ、落ち着け冨岡義勇。
 これを四月一日Aだと思うからいけないんだ。双子の姉か何かだと思おう。大丈夫だ。俺ならできる。俺なら……

「私一人では、どうにも」
「ウッ……」

 キレイな倒れ方だった。

 双子の姉か何かと思い込んだとて、ひ弱系は予想していないのである。
 ところでこのとき初めて自覚したのだが。どうやら冨岡は、彼女の強さもそうだが、その一匹狼っぷりを推していたらしい。たった一人で歩む、その気高さを。


_________

大正コソコソ噂話

Aのことを友人だとか先輩だとか同僚だとか思ってる人は少ないよ!
ドームでライブするアイドルと歴史上の偉人を足して割った感じ。遠い存在だったんだ。

 

今は昔、→←ゝ



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アホ毛50%(プロフ) - 玲さん» マジで有難いです……やる気出ます……がんばります……(ToT) (2022年10月7日 20時) (レス) id: a42aa73c2c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - どうかお身体にはお気をつけてご無理はせずに更新、活動していただけましたらと思います……!ゆっくりのんびり待っております。想像以上に長くなってしまいすみません……!!長文乱文等失礼しました。応援しております……! (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 喉からどこかの鳥の声でも発してしまいそうでした。続編……書いてくださる…………?夢でも見ているようです。この幸せを沼鬼に負けないくらいの気持ちと勢いを持ってギリギリ噛み締めます。(?)(申し訳ありません次で終わります) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もう超大好き!!!となっていたというか今も勿論のことなっています書いてくださりありがとうございます。 そうして今もまた読み直していたら、文章が変わっている……!?と気付き更新日時を確認しましてア゜〜〜!!!と大歓喜のあまり(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼致します。何回も何回も読み直し、そのたびこの作品は本当に面白いなあ、と思い、読了すると大きすぎる満足感と言い表し難いほどの感動が一気に込み上げてきまして、その感覚は頻繁に感じるものではなかったものですから、本当にこの作品はもう……(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アホ毛50% | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月29日 0時

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