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 茫然とする柱を放って、それから行動の早えのなんの。

 目が覚めたときAが手に握っていた小瓶を成分調査したところ、無惨の血をベースにした薬であると判明。弟が持たせたものだとなんとなく確信していたモンで、グッと一気に十秒チャージ 〜頸に刀を添えて〜

「え、あのそれ鬼舞辻の血……」
「万一何かあればこのまま自害する」

 結果からいえば、これでAの体は呼吸の後遺症を克服したのである。スゲーな。
 半……というにも少ない、10分の1鬼化みたいな裏技システム。不老不死の基礎ステータス変化だけを多少抜き取って、寿命の前借りで早く死ぬなら寿命が500年〜分あれば人並みに生きられるでしょ?って感じ。爆裂精力剤みたいな?

 なのでお館様に一筆。
 先日の非礼をお詫びすると共に、再び御身の元で刀を振るう手前勝手をお許しください……。
 すぐさま来た御返事の言うことにゃ、全然オッケー!元気になってよかった!(要約)という訳で晴れて梵柱が全線復帰。

 ちなみにこの間、三日のことであった。



「勢いがよすぎる……」
「文句が?」
「何一つありません」

 裁縫係の隠は、以前──二年前より少し、ほんのすこーーーーーし柔かな雰囲気のAの前でツルリと口を滑らせ、しかし二秒でアやっぱこえーな!と口をつぐむ。

「あまりいじめてやるな」

 悲鳴嶼の声が障子の向こうから聞こえる。盲目であるが着替えの場面に立ち会わない紳士さに、けれどAは何も感じない。別に部屋にいりゃいーのに、って思う。

 Aは隊服に袖を通す。鮮やかな着物がよく映える黒い髪と瞳は、けれどどこもかしこも真っ黒で、肌だけが白い。水墨画みたいだった。

「不都合などは……」
「ない。ご苦労だった」
「はいっ」

 そそくさ退散していく隠と入れ替わりに入室した悲鳴嶼は、懐かしいその気配に微笑んだ。

「四月一日」
「なんだ」
「借りは返すぞ」
「……余計なことばかり覚えているな」
「お前とのことだからな」
「なんだ、それ」
「皆そうだ」
「適当を言うのはよせ」

 Aはちょっと苦い顔をしたあと、ふ、と笑った。

 笑えた。
 こんなに悲しくても、笑うことができる。


 ……自分は罪人などではない。
 非力な弱者でもない。
 ではすべてが救えるかと問われれば、そうでもない。
 できたことは褒めればよし。
 でなくば、邁進あるのみ。

 胸を張って生きようと思った。
 弟の言葉を抱いて、自分なりに、懸命に。


 それに、私のことを大好きなやつらもいるようだから。

 

作者より→←ゝ



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アホ毛50%(プロフ) - 玲さん» マジで有難いです……やる気出ます……がんばります……(ToT) (2022年10月7日 20時) (レス) id: a42aa73c2c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - どうかお身体にはお気をつけてご無理はせずに更新、活動していただけましたらと思います……!ゆっくりのんびり待っております。想像以上に長くなってしまいすみません……!!長文乱文等失礼しました。応援しております……! (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 喉からどこかの鳥の声でも発してしまいそうでした。続編……書いてくださる…………?夢でも見ているようです。この幸せを沼鬼に負けないくらいの気持ちと勢いを持ってギリギリ噛み締めます。(?)(申し訳ありません次で終わります) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もう超大好き!!!となっていたというか今も勿論のことなっています書いてくださりありがとうございます。 そうして今もまた読み直していたら、文章が変わっている……!?と気付き更新日時を確認しましてア゜〜〜!!!と大歓喜のあまり(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼致します。何回も何回も読み直し、そのたびこの作品は本当に面白いなあ、と思い、読了すると大きすぎる満足感と言い表し難いほどの感動が一気に込み上げてきまして、その感覚は頻繁に感じるものではなかったものですから、本当にこの作品はもう……(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アホ毛50% | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月29日 0時

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