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 蝶屋敷にて。

 そっと、豊かな睫毛が上がった。怯えるような震えをはらんで開かれたその目を見る。悲しみのグレーに濡れた瞳を見た。
 なんと言葉をかけてよいものか、戸惑う。

「……すまなかったな」

 ただ、その言葉だけは、きっと違うと思っ──




「私の体が強いあまり手間をかけさせた」


 …………?

「それはそうとしてお前たちには後で稽古だな」

 …………????


「時透、前に出すぎだ。刀を変えてはしゃいでいたのか?見苦しい。ケツの青いガキが驕るなよ」
「え……?」
「返事」
「あっ。……え?え?あ、なに?え?」
「返事」
「はいっ」
「胡蝶」
「は。……え、私ですか?」
「悲鳴嶼にやたらと頼るのは無意識だな。子ども扱いしてほしいのなら学校にでも通うがいい」
「はい……すみません……」
「甘露寺」
「ひゃっ」
「とかく直情的な動きが目立つ。クセの強い呼吸を活かすことができるよう何故考えて立ち回らない?」
「はいぃ……っ」
「煉獄」
「ハイッ!」
「重心が安定していることと重心の切り換えが遅いことは全く別の話だと分からないのか?」
「よもや……」
「伊黒」
「俺もか……」
「甘露寺の前に出すぎだ。単純にみっともない」
「返す言葉もないです」
「冨岡」
「はい」
「前を譲るのはやる気がないからか?帰っていいぞ。常に位置を保てば柔軟な水の呼吸で衝撃材になれたはずだ」
「……はい……」
「不死川」
「ッス……」
「及第点」
「ねえちょっと不死川さんにだけ採点甘くないですか!?」
「僕あんなに罵倒されたんだけど!」
「っせェな引っ込んでろガキどもがァ!今俺が四月一日さんに褒められてンだよォ!!」
「褒めてはない」
「オゴッ……」
「器用が過ぎて取り立てて言うべきことがないというだけだ。お前ならもっとやれると思ったが、過大評価だった」
「あ、上げて落とされてる……残酷だわ……」
「宇髄」
「これ本気で全員ダメ出しされんのか?」
「攻撃が浅い。腕が本調子でないなら一刀に集中するべきだ。それとも格好つけたくて二刀流なのか?」
「心が死にそう」
「悲鳴嶼」
「南無三」
「時透、胡蝶、甘露寺を庇うような動きは何なんだ?自己満足なら他所でやれ。相手は仮にも柱として認められた人間だぞ」
「仮にも……」
「仮にも……」
「仮にも……」
「三人ともすまなかった……」


 言葉の刃無限罵倒編であった。

 Aはケロッと立ち上がって、病人服を脱いだ。
 やることが多いなぁと思いながら。

 

ゝ→←ゝ



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アホ毛50%(プロフ) - 玲さん» マジで有難いです……やる気出ます……がんばります……(ToT) (2022年10月7日 20時) (レス) id: a42aa73c2c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - どうかお身体にはお気をつけてご無理はせずに更新、活動していただけましたらと思います……!ゆっくりのんびり待っております。想像以上に長くなってしまいすみません……!!長文乱文等失礼しました。応援しております……! (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 喉からどこかの鳥の声でも発してしまいそうでした。続編……書いてくださる…………?夢でも見ているようです。この幸せを沼鬼に負けないくらいの気持ちと勢いを持ってギリギリ噛み締めます。(?)(申し訳ありません次で終わります) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もう超大好き!!!となっていたというか今も勿論のことなっています書いてくださりありがとうございます。 そうして今もまた読み直していたら、文章が変わっている……!?と気付き更新日時を確認しましてア゜〜〜!!!と大歓喜のあまり(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼致します。何回も何回も読み直し、そのたびこの作品は本当に面白いなあ、と思い、読了すると大きすぎる満足感と言い表し難いほどの感動が一気に込み上げてきまして、その感覚は頻繁に感じるものではなかったものですから、本当にこの作品はもう……(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アホ毛50% | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月29日 0時

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