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 思い出のキレ味が凄いんだこれがまた。

 発作的にトラウマを思い出して口内を噛む柱たちは、というかアレ?今何してたっけ?という顔でハッとする。ヤベッ寝てた!というような、現状把握に努める焦りの表情。
 強烈なショックにて意識を失っていたようだった。
 控えていた隠たちも腰を抜かしていた。廊下は死屍累々である。お館様のお屋敷でいつまでも尻餅などついていては失礼だと分かっているのに、体がバグっている。

 柱たちはというと、染み込むみたいにじんわり現実を理解しながら、けれどまだ回想の中にあった。よくアレを言われて心が折れなかったモンである。いや本当に怖いな〜四月一日さんは。などと思いながら、ハテそういえば、今しがたその人が話題に上がった気がする。何の話かしら?
 集団幻覚……?
 柱たちは目配せで困惑を分かち合いながら視線を上げた。

 と、同時。
 四月一日Aが顔を上げる。

「改めて、よろしくお願い申し上げます。」


 ──間違いようもない面立ちであった。

 瞳は瑞々しく、豊かな睫毛はふっくらと曲線になって華やぐように力強い。目鼻や口は完ぺきに位置していて、いっそ無表情でいることが正しいような、そういう気さえ起こった。
 花にたとえるには鮮やかすぎる美貌である。
 決して背が高い人ではないのに見上げてばかりだったから、ややもすると見下ろすような今の姿勢では、まるで初対面みたいな印象だった。髪をまとめているのもあるだろう。

 熱湯を溢したみたいな感覚。
 ドキッとする。

 あの頃。Aは不愉快そうに眉をひそめる他、ついぞ表情を変えたことがなかった。嬉しくも楽しくも悲しくもなさそうになんでもこなしてしまう人だった。
 それが今、どうしたことか、笑っていた。
 極上の微笑であった。国の一つ、簡単に傾けてしまいそうな、うつくしいほほえみ……。






「かッ、風柱様がラリられたーーッ」
「霞柱様ッどうかお気を確かにッ」
「ウワーーーッ音柱様が吐いた!」
「水柱様倒れられました……!」
「そちらは池です蛇柱様ーーッ!」
「炎柱様が痙攣なさってますっ」
「こ、恋柱様を押さえるのを誰か……ッ!」
「岩ば……アッもう……お、お労しい………」
「……蟲柱様?……む、蟲柱様ァッ!」

 隠の絶叫が響く。

 キャパオーバーだった。柱たちはそれぞれに四月一日のことを強く想っていたので、処理しきれない衝動に狂っている。地獄絵図だった。
 その中でたおやかな女だけがなおも笑っている。
 

猫も杓子もラリパッパ→←乱れ波



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アホ毛50%(プロフ) - 玲さん» マジで有難いです……やる気出ます……がんばります……(ToT) (2022年10月7日 20時) (レス) id: a42aa73c2c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - どうかお身体にはお気をつけてご無理はせずに更新、活動していただけましたらと思います……!ゆっくりのんびり待っております。想像以上に長くなってしまいすみません……!!長文乱文等失礼しました。応援しております……! (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 喉からどこかの鳥の声でも発してしまいそうでした。続編……書いてくださる…………?夢でも見ているようです。この幸せを沼鬼に負けないくらいの気持ちと勢いを持ってギリギリ噛み締めます。(?)(申し訳ありません次で終わります) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もう超大好き!!!となっていたというか今も勿論のことなっています書いてくださりありがとうございます。 そうして今もまた読み直していたら、文章が変わっている……!?と気付き更新日時を確認しましてア゜〜〜!!!と大歓喜のあまり(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼致します。何回も何回も読み直し、そのたびこの作品は本当に面白いなあ、と思い、読了すると大きすぎる満足感と言い表し難いほどの感動が一気に込み上げてきまして、その感覚は頻繁に感じるものではなかったものですから、本当にこの作品はもう……(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アホ毛50% | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月29日 0時

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