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三千世界の夜明け前 ページ18

 
 
「いいないいなっ柱っていいなァ!家政婦なんてったってさァ、そんなんもう、もうほぼ通い妻じゃん!結婚して!」
「いい加減にしろ!Aさんが困ってる!」
「まあ、このような年増に気を遣っていただいて……」
「そ〜んなことないですよ〜ぅ♡お世辞と嘘の対義語は我妻善逸ですっ♡辞書引いてみましょうか?♡」
「うふふ……。あら、嘴平様。身を乗り出しては危のうございますよ」
「俺に指図すんなァ!競争すンだこいつと!」
「なんて口を聞くんだ伊之助!!」
「俺も柱になりてえな。お尻とか出そうかな」
「何を言ってるんだお前はさっきからっ」
「一等賞になって正式にAさんを娶りてぇよぉ!」

 うるっせェのなんのって。

 ただでさえ人目を引く容貌の三人衆と、煉獄。それから夢にも見ないほどの佳人・Aである。ほとんど車両すべての目線を集めながら、彼らは無限列車に揺られていた。

 誰か善逸に教えてやれ。一等賞は二年前までその女だったぞ。柱の筆頭として大暴れしていたぞと。そして今現在も、その微笑みひとつで柱の呼吸を乱している。
 現在、煉獄はかなりクリアに三途の川が見えていた。
 なぜって、隣に座ったAは洋装であった。

 細くなめらかな体のラインがありありと見てとれるのである。シンプルで上品なワンピースだった。落ち着いた赤色は、彼女を夢を泳ぐ金魚のように見せる。
 いい匂いがした。花や果実とは違う、人工的で、煉獄には薬のようにも感じられるスッとしたよい香りは、香水であろうか。伊黒だったら血をはいていたかもしれない。しかし俺は平気だ。長男だから。やたら綺麗な河が見えているが、まあ多分平気だ。

「そういえば、その大きな荷物。どうしたんですか?」

 炭治郎が問うたのは、Aが背負う長細い包みのことだ。
「ああ、……遠方へ届け物です。そのため列車に」
 よほど大事なものなのだろうか。何重にも布の巻かれたそれを、Aは体を捻って、確かめるようにそっと撫でた。

「……お仕事のお話もございましょう。別の車両へ移らせていただきますね」
「えっ」
「そんな、いいんです。わざわざ」
「いいえ、お邪魔になってはいけませんから」

 Aはすっと立ち上がった。あまりに静かな動きは、霧の立つようである。

「無事をお祈り申し上げます。では」



「……あの、煉獄さん、大丈夫ですか?」
「……捻じ切れて細切れになった臓物が毛穴から漏れ出そうだが!柱として!耐えているので問題ない!」
「いやなんでそんなことになってんの!?」


 

ゝ→←ゝ



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アホ毛50%(プロフ) - 玲さん» マジで有難いです……やる気出ます……がんばります……(ToT) (2022年10月7日 20時) (レス) id: a42aa73c2c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - どうかお身体にはお気をつけてご無理はせずに更新、活動していただけましたらと思います……!ゆっくりのんびり待っております。想像以上に長くなってしまいすみません……!!長文乱文等失礼しました。応援しております……! (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 喉からどこかの鳥の声でも発してしまいそうでした。続編……書いてくださる…………?夢でも見ているようです。この幸せを沼鬼に負けないくらいの気持ちと勢いを持ってギリギリ噛み締めます。(?)(申し訳ありません次で終わります) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もう超大好き!!!となっていたというか今も勿論のことなっています書いてくださりありがとうございます。 そうして今もまた読み直していたら、文章が変わっている……!?と気付き更新日時を確認しましてア゜〜〜!!!と大歓喜のあまり(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼致します。何回も何回も読み直し、そのたびこの作品は本当に面白いなあ、と思い、読了すると大きすぎる満足感と言い表し難いほどの感動が一気に込み上げてきまして、その感覚は頻繁に感じるものではなかったものですから、本当にこの作品はもう……(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アホ毛50% | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月29日 0時

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