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21:目が合う ページ22

一人残された仮眠室で、私はベッドに腰掛け、膝を抱えた。本来、疲れきったエンジニア達や任務までの間仮眠をとる正隊員達に向けて開放されている部屋である。睡眠を求めていない私がいてはいけない場所だ。

なのに、ここから立ち去らないのは身体が睡眠を求めているからだろうか。


「…馬鹿だな」


三輪「…何してる?」

「あ!しゅ、…三輪」


ドアを開けたのは三輪秀次。太刀川さん、鍵はかけなかったのか。と、ぼーとする頭で考える。いや、外に鍵は無いかって自分で突っ込む。あー本当に馬鹿になってる。


「ごめん、今出るか、ら」


勢い良くベッドから降りて立ち去ろうとしたのに、本格的に身体が悲鳴を上げているようで、ふらっと倒れる。それを三輪が支えてくれたようで、痛みは無く抱きとめられている感覚がした。久し振りに感じた人肌。


「ご、ごめん」


顔を上げると、三輪と目があって、言葉が出てこなかった。三輪はいつものように顔をしかめると、私の目元に触れた。予想外の展開に身体が硬直する。


三輪「寝てないのか」

「え、うん。三輪もクマが…」


手を伸ばそとして、やめた。お互い無言が続く。あれ、待って、今、抱き締められて状態じゃね?あれ?あれ?何かおかしくね?


三輪「すまない、他を当たる。寝たほうが良い」

「だめ!」

三輪「は?」

「…ごめんなさい。私は良いから三輪が使って」

三輪「その状態で?俺は少し休めれば良いから、隊室に戻る」

「…その状態で?クマ出来てるよ?」


また、無言が続く。三輪とは他の人以上にコミュニケーションが取れない。あー、でも、キツイ。諦めて、眠ってしまおうか。


「…寝るから、もし良かったら、近くにいて、一人になりたくないから」


眠さと頭痛に見舞われ、頭がおかしくなったのか、私はそう言って、ベッドに横になった。三輪は、知らない。きっと、何処かに行ってしまうだろう。
眠りに着く前、三輪か扉のそばにいたのは憶えている。

22:精神錯乱→←20:仮眠室



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ゆう - 続き気になるー!本当に面白いです!できれば更新していただきたい。 (3月17日 19時) (レス) @page29 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - ここで終わるのはもったいない…続き、気長に待ってますから (8月11日 14時) (レス) @page29 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Doll(プロフ) - 嫌だ! (2018年12月21日 14時) (レス) id: 637c8a3b3d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緋イノラ猫 | 作成日時:2018年9月2日 0時

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