眠れる森の美女ってか

episode４４ ページ50

−数日後−




『明日で学校最後か〜』



ﾗｷﾞｰ「Aさんはホリデーどこかに行ったりするんスか？」



『うん、まあ…』



ﾗｷﾞｰ「？？……あっ、Aさんちの親は最初の1週間くらい旅行に行ってるんでしたっけ？」



『え？……ああ、うんそうなの！』




私の家族はホリデーが始まってからの1週間は旅行に行ってる……ということにしている。




ﾗｷﾞｰ「Aさんはその旅行一緒に行かなくていいんスか？オレだったらついて行くけどな〜」



『……私はホリデーで皆と遊びたいからさ』




2年生のホリデー、私はどうしても家に帰りたくなかった。だから何か理由は……と思って、“ 家族が1週間旅行に行ってる ” という嘘をついて、友達と遊んだりしていた。

1週間経ったあとはバイトで稼いだお金や魔法で出したご飯なんかで生活して、そのまま一度も家に帰らず学校へ……という、今思えば凄いことしてたな去年の私。




ﾗｷﾞｰ「じゃあ今年はどーやってその1週間過ごすんスか？もしかして家で一人で？」



『んーん、今年はトレイの家のケーキ屋さんを手伝ったり、あとはけーくんとお出かけ！』



ﾗｷﾞｰ「ああ、あの二人」



『ラギーは？どこか遊びに行ったりするの？』



ﾗｷﾞｰ「んー、オレは……チビたちと一緒に遊んだりはするんスけど、どっか行ったりとかは特に。

あと2年生になって課題も増えたんで、それ終わらせないと…」




課題かあ、そっか。課題があるじゃん。……レオナは持って帰らなそうだな。




ﾗｷﾞｰ「あっ、そうだAさん聞いてくださいよ！この前レオナさんが＿＿＿＿」









……ああ、なんかいいなあこーゆーの。倒れた時にあんな夢を見たから、こーやって友達と歩いてるだけで幸せだって感じるなあ。




ﾗｷﾞｰ「……って、Aさん聞いてます？」



『うん……ラギー、ありがとね』



ﾗｷﾞｰ「へっ？？な、何がッスか？」



『……んーん、なんでもない！』



ﾗｷﾞｰ「えー、マジでAさん変なんスけど…」



『変じゃないです通常運転ですー』




……ねえラギー、もうすぐホリデーでしょ？私にとっては地獄なの。家に帰るのも、あの人たちに会うのも。でも……今なら大丈夫な気がする。




………ラギーにも、他の皆にも。まだ誰にも言えない私の秘密なんだけどね、苦しくなったら話してもいいかな？




みんななら……ラギーなら、またあの時みたいに受け止めてくれる？




.

この小説の続きへ→←episode４３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す