episode３９ ページ42
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『なぜこんな簡単なことも出来ない！この出来損ないが！！』
『お前のせいでクロードが死んだ』
『お前が殺.したんだ』
父も母もよくこれを言っていた。お兄ちゃんは死んでない、だってお医者さんは『死んでいる』なんて一言も言ってない。
兄はずっとベッドで眠っている。きっと生きてる。また前みたいに……そう思ってしまう自分が少しでもいるのが嫌だった。
それから私は逃げるように家を出た。黒い馬車が迎えに来るよりも早く。
私は人よりも多くの魔法を使えた。だから生活には困らなかった。輝石の国では魔法のパフォーマンスで稼ぐ人もいる。私はその人の元に住まわせてもらっていた。
1年後、私が15歳の時、黒い馬車が迎えに来た。
どうして私の居場所がわかったのか不思議だったけど、魔法で分かっちゃうのかななんて思って。そしてやっぱり選ばれていたのは私だったんだと。
おばさんにお礼を言ってNRCへの入学を決意した。
持ち物はおばさんからもらったお小遣いだけ。スマホは魔法で創り出した。
複雑なものじゃなければ魔法で大抵創り出すことができたから、入学してからも足りないものは自分で創り出した。
入学してしばらくの間は「女」という理由でいじめや呼び出されることが多かった。
変な気を起こすグズもいたけど、そこはバレないように魔法を使って防いだ。
NRCは男子校。そこに女子が特待生として入学してくるだけでもよく思わない人もいるだろうに、私はディアソムニア寮に選ばれてしまった。
これは全部兄をあんな姿にしてしまった自分の責任だと。だからいじめも暴力も、全て我慢してきた。
ユニーク魔法を使わなくても、コイツらなんて簡単に倒すことができた。でも魔法を使った私闘は禁止。力では男に勝てるわけもない。
だから私は我慢した。我慢して我慢して、アイツらのせいで負った怪我は魔法で治した。
父に付けられたアザは治していない。いや、治せない。家を出たあと一度治したことがあるけど、それが父にバレて更にヒートアップした。
そして私は気づいた。お兄ちゃんもこんな気持ちだったのかなって。こうしてずっと我慢していたのかなって。
私は兄の気持ちなんて考えずに言葉を発していた。でもそれが兄を追い詰めていた。ストレスを与えていた。
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ミヤ(プロフ) - リリィさん» コメントありがとうございます〜！！更新頑張れます！！！ (2020年8月4日 18時) (
レス) id: 60cbf0898d (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - めっちゃ面白いです！！更新頑張ってください！！ (2020年8月4日 16時) (レス) id: 36b39b29b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミヤ | 作成日時：2020年5月27日 20時
