16滴 ページ17
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｢A！うっちゅ〜！｣
『そんなに走ると転けちゃうよ？』
明るい声を響かせながらこちらに走ってくるレオに私は笑いながらそう言う。
｢だって、早くAに会いたかったからなっ！｣
そんな満面の笑みを浮かべながら言ったレオの言葉に私は目を見開いた。けれど、私は小さく笑い
『私もレオに会いたかった』
そう言う。いつもなら恥ずかしい言葉なのに今日はすんなりと口から出てきた。
あぁ、でもこんなことを言えるのはあと何回なのだろうか。なんて表情とは裏腹になんとも残酷なことを考えていた。
『ねぇレオはアイドルを続けるの？』
会話が無くなった私はレオにそう尋ねる。
｢さぁな！おれは好きなことをして生きていたいから分からん！｣
そう言って｢わはは！｣と笑うレオの先程の言葉が私の頭に響く。
好きなことをして……
『楽しそう……！』
｢だろっ！｣
眩しい笑顔で自慢げにそう言ったレオに私は笑って頷いた。そんな私にレオは質問を投げる。
｢Aはしたい事とかないのか？｣
『う〜ん……』
｢じゃあ、あれ！願い事とか！｣
願い事かぁ……
私は何かないかと考え、パッと頭に思い浮かんだのは一つ。ずっと昔から思っていたことだった。
『人間に、なりたいなぁ』
人間になって一度でいいからレオとセナさんの歌って、踊っている姿を見てみたい。
『それに……』
｢それに？｣
『ううん！なんでもない！』
レオに触れられるから、なんて言葉は飲み込んだ。こんなの聞かれちゃ恥ずかしいから、ね。
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作者名：ぽぽ | 作成日時：2021年1月30日 12時
