【黒バス】藍色のバスケ〔C〕【男主】 (ページ38)

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「……５点差、か。」

滴る汗をタオルで拭いながら虹村の言葉を耳にして顔を上げる。

未だ観客の歓声がある中、試合後の握手を終えて撤収の準備をしている最中だ。

「……もっと余裕で勝てるような気がした。って思ってる奴。」

俺の声に全員が手を上げる。思ったことは皆、同じらしい。

「試合終盤、お前でも体力(スタミナ)が持たなかったな。」

隣で髪を掻き上げるナッシュに俺は黙って頷く。以前の初期Jabberwock4人で戦ったU－17以上に辛い。

あの時は相手も一応は子供。体力もあまり無く、才能もほぼ未開花の状態で挑んで負けた。

今回は大人相手だ。足や腕のリーチが別物で更にプロのエリートだ。体力は予想以上に消耗。
才能が開花しても点数は５点差──何とかもぎ取った勝ちだ。

大我がいれば…まだ結果は変わっただろう。
そう思って、俺は入場の時に見つけた本人の方へ視線を向けた。

『──ｯ！─────！？』

『────！』

隣にいる金髪の女が師匠なんだろう。
確か元WNBAのガルシア……だったか。何かを言い合っている光景が目に入る。

「…どうした？羅一。」

「……別に。さて、しばらくは体力作りか。」

荷物を持って出口に向かおうとすると、通路からストバスの後輩達が駆けて来た。

「お疲れ様です！」

「荷物は俺たちが持っていきますよ。」

ドリンクの籠や鞄をばばばっと奪われて呆然とする俺たちの背を、更にその年下のジュニアどもが押す。

「オイオイオイ！？待てｯ！」

シルバーが制止の声をかけるが、

「早く行って！外が大変なことになってるの！」

「出られなくなっちゃうよ！」

幼さの残るキンキン声で言われた言葉に、はぁー？と声を漏らす。

「ちょっと待て──…。」

ジュニアたちの言葉に顔が引き攣るのを隠せない。『出られなくなる』というのは俺とナッシュにとって覚えのあるものだった。

「…出待ち、か？」

「……はい。」

肯定の言葉に背筋に寒気が走った。
ナッシュは顔を青くしてる。悪夢だ…と頭を抱える暇はない。

「…全員脱出ｯ！！」

言うが早いか、ほとんどの奴らが走り出す。
目を点にしていた虹村は灰崎に腕を引かれていた。

「早くしろ虹村！！」

「はぁ！？おい説明…──」

「後に決まってんだろーが！！」

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