6話 栄誉騎士の少女 ページ6
ここの所モンドでは天候の乱れが続いていた。
「へぇ…栄誉騎士、貴方が?」
そんな不穏な風がモンドを包む中ジンから紹介されたのは栄誉騎士と呼ばれた少女だった。
事の詳細な説明は省かれてしまったが、ジン団長曰く目の前の華奢な少女がモンドを救う鍵となる人物らしい。
しかしAはその少女以上に隣でふよふよと浮かぶ謎の白い子供に目が行ってしまう。
―――浮いてる。…………え?なんで誰も突っ込まないの?突っ込んだら負けな何かなの?
そもそもAは栄誉騎士の少女、蛍については友人であるアンバーに既に聞いていた。
「……それでAには栄誉騎士と共にアビスと手を組んでいる、いや正確には利用されているのか。兎に角ヒルチャールに関する任務を請け負ってもらいたい」
「………はい」
まっすぐAの目を見て言うジンを前にすると自分の中の些細な疑問を口に出すことは憚られ、反論する理由もないので大人しく従う。
「そういうわけで、突出した戦闘スキルがある訳では無いし足を引っ張るかもしれないけどよろしくね。栄誉騎士さん」
「こちらこそ」
「おう!オイラと旅人がいれば大丈夫だ!お前のことは旅人が守ってくれるからな!」
白い生き物は自慢げに胸を張る。
「そう、なら安心ね。……それとこれからはお前じゃなくてAって呼んで」
「そっか、Aだな!オイラはパイモン!こっちは旅人のほたるだ!」
ふよふよと浮きながらパイモンは元気に自己紹介をする。
子供っぽく天真爛漫なその様子を見ていると弟のことがAの頭を過ぎる。
「改めてよろしく蛍、パイモン」
それでもなんてことない風に振る舞うことは慣れたものだった。
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作者名:コカゼ ナヅ | 作成日時:2023年7月10日 2時