14話 嫌な体質 ページ14
「・・・あんた、ほんとに動物に嫌われてるよね」
赤いリボンを靡かせながらアンバーは可哀想なものでも見るようにAを見る。
Aが所属するのはガイア率いる騎兵隊。
現在騎兵隊の殆ど、ガイアとA以外は大団長・ファルカと共に遠征に赴いている。
ガイアは兎も角として一隊員であるAもモンドに残っているのはその体質が理由だ。
その体質はアンバーの言葉通り動物に嫌われていること。いや、その表現すら優しいかもしれない。Aから見ると動物は自分を嫌っていると言うより恐れている、自分を見て怯えているのだ。
以前、騎兵隊で任務が会った時にもAが居るだけで馬たちは落ち着きを無くし手綱を引くことはおろか、近づくことすら出来なかった。
今日も騎兵隊の仕事として馬小屋の様子を見に来たAだったが、馬たちが相も変わらずそんな様子な為仕事にならなくて途方に暮れた。
Aの体質を知っているアンバーはAを心配してこうしてよく着いてきてくれる。
それどころか仕事を変わってくれることまである。
「毎回ごめんなさい、アンバー。・・・原因が分かれば対処のしようは幾らでもあるんだけど」
「もう!気にしないでってば!毎回謝られるとこっちだって申し訳なくなるでしょ!」
Aの言葉にアンバーは頬を膨れさせ拗ねたようにそっぽを向く。
そんなアンバーにAはおろおろするが、言葉を改めることにした。
「・・・毎回手伝ってくれてありがとう、今度鹿狩りでなにか奢るわ」
Aのその言葉にアンバーはそれで良いんだと言わんばかりにムフー、と笑う。
「それにしても、その体質だと騎兵隊って大変そうだよね。今回の遠征もそれで行けなかったんでしょ?」
「まぁね、でも別に気にしてないわ。騎士団にも仕事は山のようにあるし、何より家のことが心配だがら残れたことは私にとってむしろ好都合だったわ」
アンバーに言葉を返しながら心配性な父と寝たきりで目を覚まさない弟のことを想う。
「・・・それに、ただでさえ真面目に事務仕事をしてくれない隊長がいるんだもの、あの人一人にしておくと帰ってきた時に書類が溜まってそうじゃない」
もう一人、頭に浮かんだ人物はきっと悩みの種だから思い浮かんだに過ぎない。
そう自分に言い聞かせながら馬小屋の外の掃除を始める。
アンバーは姿が見えなくなったAの言葉を聞いてニヤニヤしながら馬の世話をした。
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作者名:コカゼ ナヅ | 作成日時:2023年7月10日 2時