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研磨目線




「_それに……」




「ん?」




言おうとしたけど胸の内にしまう。

(……こんなこと言ったら本当に、Aに変だって思われる。)


それをAに気付かれたくなくて近寄るAから離れて、視線を逸らす。自然と顔に熱が集まる。




「研磨?」




「……なん、でもない。行く。」




「えっ、ちょっ待って!!」




校門に足を向けると、Aは追いかけるようにして走ってくる。それが俺の胸を乱す。



「あなたって人は……どうしてこんなに乱す人なの。」



____
「研磨…っ」




人が少ない所に着くと、Aはやっと追いついたようで、呼吸を整えてからAは言う。




「私、研磨に言わないといけないことがあるの。
光や私のこと……まだ言っていないことがある。

今こんな時にごめん。言っていいか解らないけど、研磨には言わないと後悔するから……」




真剣な目に聞かないなどの選択肢は無かった。




「……聞くよ」




「ありがとう。」




ふわっと優しく笑うAはまるで陽だまりのように夜に映る。でも、次には曇る様な顔に変わる。




「私…記憶を思い出すにはこの世界の記憶を忘れる必要があるの。蒼のことも、」




「……っ」




息を呑んだ。Aは続ける。




「皆のこと全部。だんだん忘れていく……全ては光を見つけるために。いじめから逃げる自分に耐えるために。

もし、それを見つけたら、……私は……」





"この世界" "いじめ"……その言葉に疑う。
Aは神社の時から異質な存在だって思っていた。

でも、こんなに陽だまりの様な人が"いじめ"やAにとっては別の世界に来てしまうのは理不尽で最悪なことだと思った。



(そんな理不尽な中でAは…あなたは、どうして強くいられるの。)



最初にAのことを知って、自分の身の回りが急に変わるのを何でもないかのように振る舞うAは強いと思った。


(本当のところ、俺なんていらないのかもしれない。)


でも、美しい綺麗な瞳を曇らせたくないと昨日、あの瞬間少しでも俺は思ってしまった。




「私は……」




深く探るつもりなんて1ミリも無かった。
Aの瞳が曇る瞬間なんて見なくなかったから。

でも一つだけ知りたかった。それは5ヶ月経ってしまった後のことを指していたから。




「Aはどこから来たの」




Aは俺が聞くのを分かっているようだった。

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作者名:ユーナ | 作者ホームページ:yuna187.tobio912-8h1i9q@docomo.ne.jp  
作成日時:2017年8月30日 13時

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