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時間が少し経つと、バレー部の部員が集まり始める。
「流石バレー部!背が高いですね!」
「だってよ。夜久。」
「うるせー!」
賑やかなこの空間に私は居心地の良さを感じた。
そして、最後に体育館へ入って来たハーフの子に目が行く。
「すごい背が高い……ハーフ?」
独り言のように言うと、いつの間にか隣にいた研磨が教えてくれる。
「うんそう。灰羽リエーフ一年だよ…」
眉を下げて不満そうに言う研磨。
何か面倒くさいことがあるのだろうか?
「……研磨?」
「身長があるだけで、ボールが取れない一年。」
「えっ!そうなの!?」
「研磨さーん呼びましたー?」
私達がリエーフについて話してるのを聞こえたらしくボールを持って、こちらに来る。
「……呼んでない。……早く夜久くんの所へ行って。」
「えぇ!俺、スパイク打ちたいです!!ねぇ、研磨さんってば!」
研磨はその場をスタスタと離れようとする。リエーフはそれに反して付いて行く。
それに私はクスッと笑った。
(なんだか、賑やかで楽しそうだなぁ……)
みんなが揃うと私に自己紹介をするという提案に、
観るだけではなく、仲良くなりたかったから私は"喜んで!"と答えた。
_______
「植野は、危なくない二階で観てて」
「はい!そうします!」
主将の黒尾さんに指示され、私は二階へ向かった。
上がると、コート全体が見えた。
スパイクの音やレシーブが決まる音、全てが一望できるこの場所はまるで___
(漫画のワンシーンを観るみたい……!)
キー……
耳の近くで小さく耳鳴りが鳴る。
英太の時のような感じだった。
「あっ、練習始まるのかな……」
私は何も気にしなず、練習風景を観ていた。
研磨のセットアップをただひたすら、ずっと観ているだけでも私は楽しかった。
「……ふっ、リエーフと研磨、なかなか合わないなぁ…。」
不満そうな研磨を観ていて笑ってしまう私。
「面倒くさがりなのに、研磨なりに合わせようとしてるのが分かる。やっぱり、優しいんだ」
その優しさは最初から感じていたものだった。
でも、今日はまた別のものを感じた。
(……私、研磨に会ったの初めてじゃないかもしれない。
でも、話したことない……。)
話したことが無いというよりか、どちらかというと__
話せなかったに近かった。
私はその瞬間、さっきよりも大きな耳鳴りに頭を抱えた。
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作者名:ユーナ | 作者ホームページ:yuna187.tobio912-8h1i9q@docomo.ne.jp
作成日時:2017年8月30日 13時