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次の日"全員の記憶が戻った"と担当の先生に言うと
早朝から大慌てで検査することになった
「えっということは午前はないってことなんですか?」
「ごめんねAちゃん
お年寄りの人たちで今日はいっぱいで……その代わり午後の一番にするから!!」
今話しているのは検査をする時間帯のことでいつもは研磨とかが見舞いに来てくれることもあって午前に済ませていた
でも今日は健康診断の日に、被ってしまい午後しかないというのだ
「じゃあ一番でお願いしますよ?」
「Aちゃんありがとうね!」
「はいじゃ、お仕事頑張って下さい!」
この病院に入ってからというもの、南さんと仲良くなってしまった。
南さんを見ているとなんだかもう一人の菜穂みたいに見えて面白いのだ
「今日は……哉太も来るんだっけ」
小さめのカレンダーに目を向けて日にちを見ると
もう12月が終わる頃だった
「あ……そういえば記憶が無くて気が付かなかった…」
_____
数時間経った頃、哉太が先に来る
「思い出したんだな」
「うん。もう不安なんて無いよ!」
私はニコッと笑うと、哉太は何故か顔を歪ませる
「お前は本当にあいつのことが大好きなんだな」
「はぁっ!?」
「あはは、だって本当のことだろ?Aは分かりやす過ぎ」
その時、哉太がこっちに戻ってきて初めて心からの笑顔を見れたような気がした
でもその笑顔はすぐ止む
「俺、……Aが落ちた時、物凄く焦って早く助けてやりたいという気持ちでいっぱいだったし、
記憶だって戻してやりたかった……」
まだ続ける言葉を私は待った
「でもな、研磨だけは一番冷静だった。
まるでAを信じてるようでさ、自分の記憶が無くなたってAのことだけを一番に考えてたんだ
そんだけ研磨はAを愛してるんだって、思い知らされてさ、正直驚いた」
「っ……」
そんなこと、知るはずがない私にとって涙が出そうだった
今までこの幸せの何を不安がっていたのか不思議なくらいくだらなすぎて愚問だった
「俺が取りに行くなんて考え馬鹿馬鹿しいに決まってる。無意識にカッコつけてた」
「?」
言うことを全て言い終えたらしく深呼吸をする哉太に首を傾げる私
「じゃ、俺もう帰るわ」
「え、?まだ居てもいいんだよ?」
ひらひらと手を振るだけの哉太は少しだけ悲しそうに見えた
スーッ
「Aちゃん一番でお願いします」
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ユーナ(プロフ) - いちご丸さん» 続編も一緒に読んでいただけて嬉しいです!ありがとうございます😊 (8月26日 12時) (レス) id: a6d354b973 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - すごい好きです、、ありがとうございましたあああ😭 (8月24日 0時) (レス) @page43 id: 7e45dba670 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - うああああああん幸せだねええええええ(( (8月24日 0時) (レス) @page43 id: 7e45dba670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユーナ | 作者ホームページ:yuna187.tobio912-8h1i9q@docomo.ne.jp
作成日時:2017年9月12日 16時