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「君は本当にそう思ってるの」
「ホントだよ!」
少しつまらなそうに言うと月島がため息をついた。
「眼中にない人が来たって僕はどうも思わない」
「!? それって!!」
「……君じゃないからね」
目を輝やかして月島を見るが、月島は横目で私を見ていた。
「ま、まさか他に好きな……人が!?」
「だから、君が僕を落とすんでしょ?」
額を人差し指で突かれ、よろける。
でも、私は負けじと誓うように月島に言った。
「っ……じゃ、私可愛くなってまた蛍に告白するよ!
誕生日までにね!」
「お好きにどーぞ」
手をひらひら振って月島は教室へ消えた。
(やってやる……絶対に!)
「ん?でも、蛍の"可愛い"の定義なんだろう……
それが分かんないと試みようがないじゃ……!?」
決心したのにもかかわらず、思い掛けない穴を見つけてしまい、私は頭を抱えるがしょうがないと考えるのをやめた。
_____
翌日
「……」
(今日は学校休み、予定なし、やることがない今やる事といえば……)
ベットに横たわったままの重い身体を起こして、髪をひとつに縛り、私は外に出た。
「蛍にはああ言ったんだから、まずは痩せないと」
家の前でストレッチをしてから学校へ向かって走り出した。
それから学校付近になると、見覚えのある姿が。
私は気づくようにオーバーに手を振る。
「けーい!!」
「……なんで君がいるの」
「昨日、可愛くなるって宣言したから、まず痩せようと思って!」
「ここまで来たのは?」
「この時間なら蛍も部活終わるでしょ
だから……と、蛍にお願いがあって」
身の縮む思いでそういうと、月島はまるで分かっているようにため息をついた。
そして、ジト目で私を見る。
「その…大変恐縮ですが、勉強を教えて頂けないかと……」
「テストがあるから?」
「そうです!どうかお願いします!!」
バッと頭を下げる。
(今度こそ点数が落ちたら、私はっ……)
迫ってくる不安を胸にしながら心臓音を聞いていた。
「……何があるかわからないけど」
「いいの?」
「断ったつもりないんだけど」
「っ……ありがとう」
発した言葉は緊張していたかのように乾いていた。
そして、大きく深呼吸をして帰る方向に二人で歩き出した。
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作者名:ユーナ | 作者ホームページ:yuna187.tobio912-8h1i9q@docomo.ne.jp
作成日時:2016年5月10日 1時