姉と比べないで｡【文スト】【ヒロアカ】 (ページ20)

今日:32 hit、昨日:61 hit、合計:694,081 hit

Episode,seventeen ページ20

「否、吃驚させてしまって済まないね。」

「え、あ、はい…？」

「うふふふ」

包帯を巻いている男の人はAを抱きしめたまま、女性のような笑いをする。

一方Aは、未だに何が起こっているのか分からなく、「は、え、えぇ、んん？」などとよくわからない声を出していた。

「嗚呼、そうそう、まだ名前を教えてなかったね。私を名前は、太宰。太宰治だ。」

包帯を巻いた男の人、＿＿太宰治＿＿は優しく微笑した後に「宜しく」とハートが付きそうな云い方をした。

「あ、わ、私は＿＿＿」

Aも自己紹介をしようとした時、太宰の手によって、口を塞がれた。

「はぁ～。君は本当に無防備だね。」

無防備だ。太宰にそう云われて、Aの頭にはてなが浮かぶ。

如何云うことか分からなく、頸を傾げていると、其れに気付いた太宰は「普通、知らない人には名前を教えようとしないのだよ？親に習わなかったのかい？」なんて聞いてくる。

「…何にも、教えてくれなかった。だから知らない。」

「！…そうか。なら私が教えてあげよう。」

「ほんと！？色んな事教えてくれるの？」

「嗚呼、勿論！君が知りたいことなんでも教えてあげよう。佳し、これでもう知らない人じゃないね。名前、教えて呉れるかい？」

「うん！私の名前はAって云うの。宜しくね、治お兄ちゃん！」

「うん。宜しくね、Aちゃん。」

二人とも、自己紹介した後に、太宰は、「あ、そうだ。」と声を出して、Aに話しかける。

「Aちゃん。急だけど、マフィアの本部に来てもらってもいいかい？」

「良いけど、何で？」

「織田作が本部で仕事してるんだ。でね、織田作の為に連れてきてあげようと思って…。いいかい？」

織田作と云う言葉に反応したAは、「仕方ないな。云ってもいいよ」という。

「有り難う、じゃあ行こうか。」

太宰はAの手をとり、家を出る。

家の外には、黒光りする永い車が停まっていた。

太宰が其れに乗り込むのを見て、Aも急いで乗る。

「車出していいよ。」

太宰が一言、運転手に告げると、運転手は短い返事をする。

車に揺られながら着くのを待っていると、ポン、と頭に手を置かれ、撫でられる。

太宰が「眠いなら寝てもいいのだよ。」と云うと、Aは頷く。

そして、Aの瞼が重く、堕ちていった。