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軍警に違法者達をを引き渡した。
真紅のカーペットの廊下を歩き、等間隔で吊されたシャンデリアを見た。
美しい煌めきを放っているそれを見ると、自分が汚れていると遠回しに言われているようで。
………嗚呼。そんなことは考えるな。後は望月と合流して帰るだけだ。
途中でダンスに誘われてノコノコその男についていった同僚を思い出し、イライラする。
そこら辺にあった消化器を余計な仕事を増やした望月を見立てて蹴り飛ばした。
ごめん。手、出る方なんだ。
暫くイライラを解消した快感に溺れながら歩くとエレベーターホールが近付いてきた。
複数の通路がそこで交わる、無駄に広い空間。
望月は多分、会場の三階に居るはずだから、とりあえず三階を目指して……いや、ニセ警備員とバレたらお終いだからスマホで呼ぶか……?
そんなことを思いながら、胸ポケットから携帯電話を出し、電源を切っていたので起動させる。
そしてほぼA以外が喋っている、社のグループトーク画面から、しぶしぶ個人チャットに呼び出して連絡しようとしたその時だった。
「……!」
空気を空間を切り裂いて近付いてくる、それ。
Aの視界の外から、無音で静かに、冷酷に牙を剥いて襲ってきた。
Aは危機一髪で頭を後ろに引いて向かってきた__弾を避ける。
何メートルか向こう側の壁に弾が当たり、壁が明らかに普通の銃弾ではない傷つき方をした。
……異様なほどに、壁に亀裂が入って銃弾が見えないくらいに深く突き刺さっている。
「ッ!」
Aは携帯電話を左の胸ポケットにしまい懐から銃を取り出し構えた。
弾の刺さり方から見ると、刺客の位置は恐らく右側後ろ。弾がバウンドする可能性も無くはないが、恐らくそれならバウンドした時点で気付いてしまう。
「……気付かれちまうなんてな。」
聞き慣れない、男の声がした。
声の方を向くと、Aはあっと声をあげた。
_確かに、そいつは右側だった。
しかし、そいつは生者では見たこともない場所に立っていて、洋服さえも重力に従っていない。
は……?と声にならない声が上がったのをAは感じた。
ニヤニヤと笑いながらこちらに銃口を向ける彼を見る。
__考えたことあるか?幽霊でもないのに、ヒトが天井に張り付いて……否、立っている…。
「……!思い出した。重力使い…中原中也!」
「……嗚呼。そうだ。それがお前の最期の遺言になるかもな」
中原中也は不気味に笑った。
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綾部伊沙(プロフ) - 鯖印の鯖味噌味の鯖さん» 鯖!? 超絶久し振りだな 見てくれてたんですね! ありがとうございます!今から作りま〜す (2023年4月27日 19時) (レス) id: b1825981c0 (このIDを非表示/違反報告)
綾部伊沙(プロフ) - 灯花さん» コメントありがとうございます! 続いてしまいましたね汗 もう少しお付き合い頂ければ幸いです。 今から続続編作りますね〜 コウカイデキルカハベツダガ (2023年4月27日 19時) (レス) id: b1825981c0 (このIDを非表示/違反報告)
鯖印の鯖味噌味の鯖(プロフ) - わーいうれぴ🫶続続編頑張れ! (2023年4月26日 21時) (レス) @page50 id: 18bb949ae1 (このIDを非表示/違反報告)
灯花(プロフ) - 続続編がんばれ!楽しみにまってます! (2023年4月26日 14時) (レス) @page50 id: 118fbd2628 (このIDを非表示/違反報告)
綾部伊沙(プロフ) - 雪見さん» !!?!?? ありがとうございまずッッッッ 今日普通に塾だったしケーキ食べてないわで一寸寂しかったんですよ泣 あぁぁぁ嬉しいです!!覚えていて下さってありがとうございます! めっちゃやる気出ました更新頑張ります!! (2023年4月22日 22時) (レス) id: b1825981c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾部伊沙 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e8e9c819a37/
作成日時:2023年3月2日 18時