今日も社畜は探偵社で叫ぶ

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痛い痛い痛い痛い痛い痛い

声にならない悲鳴をあげながらシャワーを動かす。ヒリヒリと水にしみる肩が痛くて仕方がない。近所迷惑だなんて言葉じゃすまない、通報されても可笑しくないレベルの悲鳴が口から勝手に出ていた。

ふと、下を見ると水は真っ赤になっていた。水を含んだような、血の色。使った筆を筆洗いに入れたような、赤さ。
その水は肩を通した辺りから紅い。肩に張り付き固まった血が溶けて排水溝に消えていったのだ。

風呂に入って良いのか怪しい物だが、汗臭いままいるのは死ぬほどいやだった。
あと…………そうさ、あれだよ、消毒。

誰に向けてか分からない言い訳をしながらシャンプーのボトルを取り頭にぶっかけた。目に入りそうになって慌てて目を瞑り、水で洗い流す。

「……痛」

シャンプーは案外傷口にしみてメンタルも死んでいるのに追い打ちをかけられたようで泣きそうになるが、リンスも更にぶっかけた。

冷たい感覚がして、直ぐに暖かい湯で消えていった。

「はぁ……」

溜息が水にとけて血と石けんと共に排水溝に吸い込まれていった。






「小泉です。失礼します。」
「嗚呼。」

福沢社長の返事を聞き、社長室と書かれた高級そうなプレートのかかるドアを開ける。
ギィッ、と年季の入っていそうな音をあげてドアはゆっくりと開き、目に入るのは社長の椅子に座った福沢社長の姿。

Aは数枚書類を持って社長の机まで近付いていった。

昨日の報告書の他に始末書やらなんやらも今日提出だが、何枚か仕上がっていないので後で良いだろう。

Aはゆっくりと口を開いて、伝わるように昨日の状況を話し始めた。

金とヤクの取引、ヤクを軍警に引き渡し受け取った奴らも逮捕。反抗人は男3人と女1人、恐らく大きな組織所属ではない。

ポートマフィア、中原中也との接触。【怪談】について何か言っていたこと。確実に殺しに掛かってきたこと。そしてそれは「森さん」の命令だと言うこと。

損害は物品は特になし(社の備品を持って行ってないので損害があるわけがない)、人は右肩を撃たれたこと。

ざーっくりと説明して報告書に目を通す福沢社長を見た。
二人で無理矢理行かされたのに、報告書作成と報告はなぜ自分だけが担当しているのだろう、と爪を剥ぎながら少なからずイライラするA。

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