今日も社畜は探偵社で嗤う

第二章 ページ14

「ふわぁぁ」

久々の睡眠と酒とタバコのハッピーセットを取れたA。相当機嫌が宜しい
こんなにも普通なことに喜べることが社畜の鑑だ。

「おはようございます」

そしてガチャリとドアを開けながら呟く。二日間会社に寝泊まりしていたので朝にドアを開けるのは久し振りだ。
更にスマホの電源を落としていたAは望月の無茶振りを受けることもなく、ぴったり8時30分に出社した。

今日もおはようの挨拶は帰ってこないだろう。＿＿本当に、そんなことを思っていられることが幸せだったなんて、考えもしていなかったんだ。

「おはようございます!」
「おはようございます小泉さん」

瞬時にちらほらと帰ってくる挨拶にAは目を瞬かせる。勿論、正体を見破ってやろうなんて目論む社員には気付かない。

「え……あ、どうも……」

人間(・・)に挨拶を返される初めての経験に返す言葉が分からず、ごにょごにょと呟きつつデスクに座る。

今日は天と地がひっくり返るのか、今日地球が終わるのか。某何十年も連載してない漫画が連載再開するのか。
＿＿嗚呼。どうせなら天地異変で探偵社に潰れて頂きたい。

その想像をして若干口角が上がるAを失笑を漏らしながら聡司が見守る。

「どういたしましょう？」
「普通に聞いても教えてくれませんよね……。」
「ここは敦君。私に任せ給え。」

胸にとんとてをあてる太宰。
さァ、地獄の始まりだ＿。

・→←お知らせもどき

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す