【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ50)

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「あれ？その子が例のAちゃんでは」

「にゃはっ、そうっす」

は？え？夢追先輩私の事知ってるの？認知済み？何この状況

知ってるなら、知ってるなら告白してみてもいいのでは？？昨日好きになったばっかりだしほんとに好きかも分からないけどでもせっかく会ったし

「あ、あの、先輩！」

「その先はだめよ。ゆめおさんカノジョいるから」

「は？」

シーっと人差し指を唇に当てこちらを向く湊。何のために私を会わせた？

「彼女、いるんですか？」

「あー、まあ、ね、」

ちらっと湊の方を見て私とまた目を合わせる先輩。なに、湊なにかしてるの？夢追先輩の弱みでも握ってんのか

「じゃ、Aの気も済んだと思うんで帰ります」

「Aちゃん気をつけて〜」

困惑しかしてない私を他所に夢追先輩はニコニコと手を振って湊に手を引かれる私を見る

さっきと同じ状況だぞこれ。何のために連れてきたんだほんとに

「よかったやん諦める理由できて」

「あーーね？彼女いるって知っててわざわざ私が振られるために連れてったわけね？？？」

「そーよもちろん。じゃなきゃ態々ゆめおさんのとこいかんわ」

夢追さんはやめといた方がいいと思うなんて呟いてる湊を睨む。ただ私が惨めな思いをしただけじゃんか

はあ、折角好きになれた人だったのに

「また好きになれる人を探す日々が始まる〜」

なんて呑気に言ってる湊の足を踏み付ける。別に告んなければ幾らでも好きで居続けてよかったでしょうが

自分の想いを知られている状態でその人と接するのが嫌だから私は思いを告げたら忘れようと決めていた

だからもう夢追先輩は好きな人じゃない

そう決めたことを湊も知ってるはずだから

「灯台下暗しって言葉知っとる？」

「なに急に」

「いや〜？？可哀想だと思って」

「誰が」

「俺が」

「は？」

いくら甘い言葉囁いてもキスできるくらい近づいても俺ん事は幼馴染としか見てないもんなお前はなんて言っておでこをコツンと叩いた

私も湊も謙遜なしに言うと昔からモテる

そういうわけでお互いの相談に乗っていたわけなんだけど、湊がそんな素振りを見せることは一切なかった

私が鈍感とかそういうことではなく

湊は自分から告白して女の子と付き合ったことはなくて、いい感じに満たされればそれでいいっしょ〜なんて言ってたから普通に気づかないよね

「どうです？お嬢さん。俺一応ギター弾けますけど」

私が夢追先輩を好きになったのギターじゃないって知ってるのにこうやって言ってくる

まあ、意識してあげてもいいかなって