【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ48)

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用事というのはきっと彼女さんとのデートなんだろうな。声色がわくわくを隠しきれていない

「あー、私景くんに誕生日教えてないんだよね」

数秒開けてえぇ！？っていう叫び声が聞こえてきた。景くんのびっくりする声と共に。晴くんどこいったんだろ

『すみませんAさん。今すぐ向かわせます』

「え？」

『景くん！もう解散！！早く帰ってAさんのとこ行きな！？』

え？は？なんて困惑している景くんの声が聞こえる。そりゃそうよな。私ですら困惑してるんだから

『今から行くと思います〜』

「あ、うん。え？」

すごいスピード感で切られた電話。藤士郎くんって意外と強引だよね

制服から着替えてインスタで祝ってくれた友達に感謝のメッセージを送ろうとソファーに座ったところで着信音が鳴る。景くんだ。藤士郎くんに追い出されてどうしたんだろ。

「はーい。もしもし？」

『Aごめん！まーじでごめん！！今から家行ってもいいか？』

「いいよ。誰もいないから」

大丈夫って言ったタイミングで玄関のチャイムがなった。断られたらどうするつもりだったんだよ。

「空いてるから入ってきていいよ」

『あーい』

少しして部屋のドアがコンコンコンとノックされた。外よりも家の方が静かであるはずなのに、さっきの何倍も騒がしい

どうぞと言うと電話のテンションよりも低すぎる位の景くんが入ってきた

「景くん？」

「A、家にひとりだよな？ちゃんと鍵かけとけよ？」

「はーい」

「お前可愛いから心配なんだよ俺は」

何をそんなに思い詰めた顔をしているのと笑ってみせる

「プレゼントないのー？？」

1度落ち込むととことん考えて考えすぎちゃう癖があるから。少し話題転換が強引すぎたかな

でもニカッと笑った彼の顔を見て安心する

「めちゃくちゃいいやつさっき頼んだならプレゼントはまた今度渡すな」

「んえー、じゃなんで家来たの」

「直接おめでとうって言いたかったから。……なにー？俺がプレゼントだと思った？」

なんて私が少し顔を曇らせたからってからかってくる。ノってあげようじゃないの。元から否定はしませんが

「否定してくれないと困るんだが？」

「…………別にそれでもいいかなって思って」

「は？」

簡単にそういうこと言うなよとか言われるけど本当にそう思ったから言っただけだもん

1人慌ててる景くんをよそにさっきも聞いた着信音が鳴り、藤士郎くんの声が聞こえてくる

『ちゃんと景くん行きましたー？』

と聞く彼にYESの言葉を返して、ひとりごとを言い続けている景くんを叱ってもらったのは別のお話