【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ5)

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話をそらすことしか出来ないから必死に名前呼びの話題から逃げる

そういうまゆくんだってなかなか私のことを名前で呼んでくれない

"君"だとかさん付けだったりとか

相手に求めるならまずは自分からでしょ？

「話しそらさないでってば、」

「まゆくんも私のこと名前で読んでくれないじゃん！」

「それは君が俺の事をそう呼んでるから」

「………は？」

意味がわからない返答に困惑する。私がまゆくん呼びだからってどういうこと

「他の子は下の名前で呼び捨てだったりするのに俺だけ名字だし。昨日の子のことも呼び捨てだったし。」

「いやだからあの子は女の子で、」

「街歩いてて名字呼びだったらカップルでデートしてるって思ってもらえないじゃん」

何言っているんだこの人は
時々キャラに合わないことを言ってくるから困る

すれ違う人達に私たちが付き合ってるって知らしめたいってことだったら相当やばいやつなんだけど

「わかった。わかったから！！だからあの、その綺麗なお顔近づけてくるのやめてもらっても？」

「なんで？」

「なんでって、恥ずかしい、から」

「ふーん。それで、いつになったら呼んでくれるの」

いつの間にかまゆくんのほうが優勢になっていることに私は気づけない。いや、元々この話に持っていくつもりだったのかもしれない。

そうだとしたら相当な策士だけど

「………………かい、くん」

かなり小さな声だったと思う。改めて呼ぶのは思ったよりも恥ずかしくて。赤く染まってしまう顔を必死に隠した。

「A」

「っ、、、」

「すきだよ」

不意打ちにも程がある。それはずるい。ずるすぎる
なんで、いつもそう簡単に言わないのに。私から言った時しか言わないのに。

「めずらしいって思った？ずっと我慢してたんだよね。好きだよ。Aずっと好き。」

「んんんんん、だからぁ」

「だから、なに？」

「、、私も好き」

「ははっ、知ってる」

照れ隠しのように近すぎた顔をもっと近づけて私の肩口に頭を乗せる灰くんの耳は心做しか赤く染っているような気がする

結局私は灰くんには勝てないみたい

でも、少しでも翻弄できていたらいいなっておもったり。