【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ31)

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「今日も仕事行くくせに。叶なんて知らない。折角の2人の休みだったのに。確かに付き合う時に寂しくさせるとは言ってたけどさぁここまでとは思わないよ……寂しかった」

「うん。ごめん」

どう考えても私が我慢すればいいだけの話なのに彼は静かに聞いてくれていた

「その代わりと言ったらなんだけどさ、今日こそは一日オフにしてもらったよ。誕生日当日に一緒にいられるよ」

私のためにそこまでしないでほしい。急な罪悪感が生まれる

「また仕事入るよ」

「入ったとしても断るよ」

「それは嘘」

「嘘じゃない」

彼を信じられないとかじゃなくて私にこれ以上叶さんの優しさを注ぎ込まないで欲しかった

溺れてしまうから

それがないとダメになってしまうから

「なんで？」

「Aが大事だからだって。僕もそろそろ仕事漬けで限界だしA補充したいし。あと普通に葛葉に嫉妬した」

「それはもっとなんで！？」

だっていつも相談されてたんだぞってあいつ言ってたもん

なんてまたそんな変なところだけ聞き取るから

葛葉さんも葛葉さんで変なところだけ抜き出するじゃないよほんとに

でも待って、私まだ叶さんに大切な言葉言われてない

「それより叶さん、何か言い忘れてませんか？」

「なにが？」

「んん」

「んふふ、誕生日おめでとうA。大好き」

そう言って私の前髪を横にずらし唇をおでこに当てた彼は私の真っ赤な顔を見て笑い出すのだった