【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ4)

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嫉妬 - myzm ページ4

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「あ、まゆくんおはよー！」

「おはよ。」

毎朝家まで迎えに来てくれる幼馴染の彼はいつもより素っ気ない気がする。いつも饒舌なわけではないけど、少なくとも昨日よりも口数が少ない

そろそろ蝉も鳴き始める季節

今日は日差しが強くて、ワイシャツの袖を捲って第2ボタンも外しているというのに、まゆくんはネクタイすら外さずに平然としている

それも相まってるんじゃないかってくらい女の子の私よりも肌が白くて羨ましい

暑いね～と話を振っても私の顔をちらっとみては言葉を発さずに無言で隣を歩き続ける彼

「まゆくん？私何かした？」

学校では無表情だから一見冷たそうに見える彼も、中身は優しくて面白くて本当にいい人。自分で言うのもなんだけどかなり私に甘い

だから冷たくされると焦ってしまうのが悪いところ

「昨日の放課後一緒にいたの誰？」

「昨日？」

少しの間をおいてから聞こえたのは心当たりのない言葉

昨日は小さい頃から一緒の仲良い子と遊びに行っていた。疑われるような人の隣を歩いた覚えはない

「友達とプリクラとか撮りに行ってただけだよ？」

「あの子、女の子？」

「そうだけど」

たしかにその子は俗に言うボーイッシュ系の女の子だけど、学校終わりにそのままだったからスカート履いてたし

髪は短くてマッシュっぽいけど顔は女の子だって分かる綺麗な顔してるし

何より小学生からの友達だからまゆくんも知ってるはずなんだけどな

よく確認しないでこうやって機嫌を損ねてるのかな

だとしたらすごくかわいいんですけど

「スカートも履いてたし、まゆくんも知ってる子だよ？」

「え、、」

「ちゃんと確認しなかったでしょ」

「まあ、うん」

レアな困り顔が拝めたかと思ったら秒で開き直るあたりまゆくんらしい

「今は同性愛もありえるし、君がその子に恋しないとは限らないでしょ」

言い訳にそれを持ってくるのは賢いまゆくんらしいけど、いつもと逆の、私が優勢な立場で調子に乗る

「私はまゆくんしか見てませんが」

「じゃあなんで未だに名前で呼んでくれないの」

「え？急すぎんか」

灰くんって呼ぼうと思ったことがないわけじゃないけど、なにかが恥ずかしくて。話を逸らせば諦めてくれるかなって思って今まで避けてきた

他の子は名前で呼べるのにまゆくんだけ呼べない

「嫉妬？」

「そうだよ。悪い？それで、なんでなの？」

「そういえば昨日ね〜」