【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ25)

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また ‐ sny※ ページ25

地面に水が打ち付けられる強い音が響く

窓の外に見えていた綺麗な桜はこの鼠色の空から降る雨によって全て散ってしまうだろう

明日は外に出てお花見でもしようと思っていたのに

一人部屋に響く雨音は孤独をより強調させ、未来への希望を無くすかのようにだんだんと強くなっていくばかりだった

「大切な話って？」

水が地面に落ちる音が少しばかり弱まってきた頃、私を心配してお友達が来てくれた

部活中、突然倒れた私は保健室に運ばれることも無く救急車に乗せられた

意識はあるものの、どれが誰の声かなんて判断出来ず、ただ前をぼーっと見ていただけだった気がする

目覚めると見慣れない色の天井が目に入り、その後口元や腕に何かがつけられていることに気づいた

やっとそこで自分は倒れて病院にいるんだと認識できた

お母さんが泣きながら扉を開けたり、担当医だという人に色々聞かれたりしたけど、私の体は何も問題ないらしかった

落ち着いてから話された言葉の方が私的には問題だった

「私ね、死んじゃうみたい」

余命宣告

ドラマの中でしか見たことのなかったそれに脳が追いつかず、でもなぜだか簡単に受け入れられた

どこか自分でも分かっていたんだと思う

「……え、うそだ。嘘だよね？そうだよ。今日はエイプリルフールだもん。嘘。そんな嘘やめてって」

「サーニャ、エイプリルフールは昨日だよ。もう終わったんだよ。」

1人の人間が死ぬ

それだけの話は長い日を生きてきたサーニャにとってはどうってことないと思ってた

可愛い顔を崩して大きな瞳に涙をためている

零れ落ちてしまわないようにと必死に耐えながら

「嘘だよ。できるだけ長く生きるよって言ってくれたじゃん。来年は夢の国行こうねって…海行こうって、見たこと無かった景色見せてくれるって、」

「そうだね」

いつもは声を荒らげて私を叱る彼女が、今は静かにひとりごとのように呟く