【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ2)

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友達 ‐ kne ページ2

6時限目終了のチャイムがなり終わった今、まだ授業が続いている

普段は早く終われと願うこの時間も今日だけはもう少し長く、その理解できない数式の説明をしてくれと伝えたい程、放課後になってほしくなかった

そんな願いは届かず、すぐに説明が終わった先生は挨拶いらないから、と急ぎ足で教室を出ていった

それと交代するように担任の先生が入ってきてHRが始まる

いつもは連絡が何個かあるのに運悪く今日は何もない日で、すぐに清掃へと移った

でも生憎私は今週休みで、すぐに先輩の元へと行かなければならない

先輩に会うのが嫌なわけではないけど、寧ろ嬉しいのだけど、嫌な予感がする

なぜ呼び出されたのかも分からないまま、渋々ながら昇降口へと向かう

言われたのは今日の朝、しかも殆どの人が登校してきていていた時間帯

この学校の女の子で知らない人はいないんじゃないかってくらい知名度がある叶先輩が、何人かの友人と共に私の元に来た

今日の放課後、いつものところで待ってる

とだけ言ってすぐに自分の教室に帰っていった

クラスの子からの質問攻めは何とか回避したものの、とある男子からの視線は一日中ずっと背中に突き刺さっていた

あいつ誰なのと訴えかけるような深緑の瞳を見つめ返すことは出来なかった

同じ中学だった子達は、まるで人間じゃないものを見るような暗い瞳で見られた

かと思うと、どこかへ行ってしまった

朝の出来事はきっと先輩にも後輩にも情報が回っているんだと思うと、顔を上げて廊下を歩くなんてことは出来ない

そんなことしたらコソコソと噂話をされるだけなのはずっと前から知っているから

釣り合っていないことなんて自分が1番わかっている

あれからは気をつけていたのに、あっちから干渉されては対策などしようがない

「あ、きたー！遅いよー」

いつもの場所、というのはベンチと滑り台しかないような小さな公園

高校から近いのに学生が殆どいないここに、私たちは何かある度集まっては話をしていた

だからこそ、態々クラスに来てまでここに私を呼び出す理由が分からない

何か良くないことでもあったのだろうか、とても大切な話なのだろうか

そんなことを考えている間も先輩のグラデーションのかかった綺麗なグレーの瞳は私を捉え続けていた

「…先輩？何か大切な話？」